12日の日経平均は怒りの急反騰。7月29日以来、そして戦後15位タイとなる8日続落を免れた。とはいえ、続落期間中(9月3~11日)の下げ幅(3,081.11円、7.96%安)に対し、まだ半値戻しにも届いていない。一方で、同じ期間の米国株と言えば、ニューヨークダウが1.68%安、NASDAQも1.79%安と軽微な下げにとどまっていた。彼我の差にはため息の出る思いだが、こんな時にも果敢な買いに動いている向きがある。個人投資家だ。
日経平均が2,000円を超える下げとなった前週の信用買い残は1,195億円増の4兆1,046億円と、3週連続増で5週ぶりの4兆円乗せだ。その一方で、例えば日経平均高配当50指数に連動するETF(1489)や野村株主還元70に連動するETF(2529)の発行口数が過去最高を記録している。こうした状況に、東海東京インテリジェンス・ラボの鈴木誠一チーフエクイティマーケットアナリストは「投資のスパンが長く、決算の縛りがない個人投資家にとってみると、株価の調整局面は投資の好機と映るのだろう」と指摘した。9月中間決算期末を控えたここで動けるのはやはり個人、ということになりそうだ。
主な9月末配当付き連続増配高利回り銘柄 | ||||
銘柄 | コード | 連続増配 | 配当利回り | 配当性向 |
SPK | 7466 | 25年 | 3.0% | 25.1% |
三菱HCキャピタル | 8593 | 24年 | 3.9% | 42.5% |
USS | 4732 | 23年 | 3.0% | 54.9% |
リコーリース | 8566 | 23年 | 3.3% | 34.6% |
KDDI | 9433 | 21年 | 3.0% | 42.6% |
沖縄セルラー電話 | 9436 | 21年 | 2.9% | 47.2% |
サンドラッグ | 9989 | 21年 | 3.1% | 49.9% |
芙蓉総合リース | 8424 | 18年 | 4.2% | 30.0% |
みずほリース | 8425 | 18年 | 4.0% | 28.7% |
ハマキョウレックス | 9037 | 17年 | 2.9% | 30.5% |
キッセイ薬品工業 | 4547 | 15年 | 2.6% | 35.2% |
なお、12日付日本経済新聞は、米国における「配当貴族」と呼ばれる長期連続増配銘柄の高パフォーマンスを紹介し、「ハイテク株失速、受け皿に」などとしていた。配当は個人投資家の関心の高いファクターとして知られる。ここでは日本の配当貴族にも注目してみたい。①連続増配年数15年以上②配当利回り2.5%以上で③9月末に配当を予定する(3、9月末の配当額に大差がない)――の基準で表の11銘柄が浮かび上がってきた(みずほリースとUSSは株式分割権利落ち換算で実質増配)。①②は満たすが3.9月期決算以外の銘柄にはプラネット、シークス、コムチュア、スカラがある。今後の連続増配余地を探るという観点から、配当性向の低い銘柄はSPK、芙蓉総合リース、みずほリース、ハマキョウレックス。9月末株主優待権利付きなのは、クオカードやギフトカードのUSSのみだ(3月末優待実施は多い)。
権利付き最終日である26日まで残り8営業日で、権利取りラストチャンスを迎えている。少なくともこうした銘柄にはこの期間、個人の売りは出づらいとはいえるだろう。(K)