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トップ記事2024年9月17日

話題続々、「新潟」見直しの機に 新潟経済同友会特別幹事 ハードオフコーポレーション 山本善政会長に聞く

新潟県上場企業IRフォーラム 18日開催

今年に入って新潟絡みの話題が相次いでいる。年明け1月31日には「15年ぶりの独立系国内線新規参入」となる新潟空港拠点のトキエアが就航し(新潟~丘珠=札幌)、来週末27日からは新潟~名古屋路線も運行を開始する。7月27日には「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録が決定した。さらには、最近“令和の米騒動”が話題を集めたが、新潟県と言えば、米の産出額で40年以上トップを続ける日本一の米どころ。関連株として、前週9日にはサトウ食品が上場来高値を付け、2002年安値から11.0倍高のテンバガー銘柄となったことも市場の関心を集めた。「優良・堅実ながら地味で割安」といった新潟銘柄のイメージにも変化が生じつつあると言えようか。18日には、こうした企業群が参集し、「新潟県上場企業IRフォーラム2024」が開催される。今年で第6回となるが、これまで以上の盛り上がりが期待されている。新潟経済同友会特別幹事であり、フォーラムの旗振り役を務めるハードオフコーポレーションの山本善政会長(写真)に話を聞いた。

新潟県の東証上場企業
銘柄 コード 市場 PBR 事業内容
雪国まいたけ 1375 P 3.4倍 キノコ生産販売
第一建設工業 1799 S 0.5倍 線路工事
田辺工業 1828 S 0.7倍 プラント建設
植木組 1867 S 0.3倍 建設
福田組 1899 P 0.5倍 新潟首位ゼネコン
ブルボン 2208 S 1.0倍 食品
亀田製菓 2220 P 1.4倍 食品
岩塚製菓 2221 S 0.4倍 食品
ハードオフ 2674 P 1.5倍 小売り
セイヒョー 2872 S 1.9倍 アイスOEM
一正蒲鉾 2904 P 0.9倍 水産練り製品大手
サトウ食品 2923 S 2.0倍 包装米飯最大手
オーシャン 3096 S 1.0倍 食品スーパー
北越コーポ 3865 P 0.9倍 製紙
キタック 4707 S 0.6倍 建設コンサル
有沢製作所 5208 P 1.0倍 プリント基板
北越メタル 5446 S 0.3倍 電炉メーカー
コロナ 5909 S 0.3倍 石油ストーブ
ダイニチ工業 5951 S 0.3倍 石油ファンヒーター
太陽工機 6164 S 1.0倍 工作機械
北越工業 6364 P 1.3倍 建設用コンプレッサー
ツインバード 6897 S 0.5倍 家電
スプリックス 7030 S 1.3倍 学習塾
日本精機 7287 S 0.3倍 二輪計器世界一
第四北越FG 7327 P 0.4倍 銀行
トップカルチャー 7640 S 7.5倍 蔦屋書店展開
遠藤製作所 7841 S 0.5倍 ゴルフクラブOEM
コメリ 8218 P 0.7倍 ホームセンター
アクシアル 8255 P 1.0倍 スーパー
大光銀行 8537 S 0.1倍 銀行
新潟交通 9017 S 0.4倍 バス
リンコー 9355 S 0.2倍 港湾運送
BSNメディアHD 9408 S 0.4倍 TBS系放送局
北陸ガス 9537 S 0.3倍 地方ガス大手
アークランズ 9842 P 0.9倍 ホームセンター
(PBRは10日現在、小数点2位以下切り捨て)

――昨年のフォーラム参加者数はどの程度?

「受け付けでカウントした数では約1,700人となるが、実際には例年直で入場する方も多く、肌感覚として2,500~3,000人程度に達していたのではないか」

――昨年初めて学生向けのブースを設けたそうだが、こちらの状況は。

「夏休み期間中ということもあって、結局30人程度にとどまった」

――となると今回も。

「新潟県には21の大学があるが、学生の多くは県内に上場企業が38社(うち東証プロマーケット3社)もあることをおそらくご存じない。彼らの参加は、人材採用に苦戦している企業側と就活学生双方にとってWinWinの関係となる。一方で、学生には“投資家予備軍”という面もある。今年は200~300人に来場してもらえるよう準備を進めていくなかで、インフルエンサーになってもらえる学生達と巡り合えた。大学横断で『次世代BASE』として活動されている方々で、フォーラムの打ち合わせにも参加してもらい、地元テレビ局のニュースで取り上げられた。彼らからは、学生達だけで経営トップと話す場を設けられないかといった要望が出た。控室などに招いての小規模なミーティングも予定している」

――SNS(交流サイト)などで発信してもらえば、就活目的で学生がどっと詰めかける可能性もある。会場のキャパシティなどは大丈夫か。

「団体として一度に来るわけでもなかろう。ばらけていれば十分対応できるはず。そうした心配が必要になるようなら嬉しい悲鳴だ」

――昨年に続いて東証・岩永守幸社長も参加する。東証の市場改革が進むなか、新潟の上場企業には依然PBR1倍割れが多数を占めるが…。

「市場の評価は低くても、ポテンシャルを秘めたキラリと光る企業は少なくない。今回のフォーラムが見直しのキッカケになってもらえれば」

昨年のフォーラム開催日(9/14)からの上昇率上位
遠藤製作所 7841 △67.3%
サトウ食品 2923 △55.8%
北越コーポ 3865 △45.2%
有沢製作所 5208 △37.8%
第一建設工業 1799 △31.1%
ハードオフ 2674 △23.9%
第四北越FG 7327 △22.6%
コメリ 8218 △20.1%
(10日現在)

――昨年の開催日から直近まで3割高以上となったものが5銘柄。なかでも米関連のサトウ食品は市場で話題を集めた。

「米どころの新潟県には、せんべいなどの食品や日本酒の蔵元をはじめ米に絡んだ産業は数多い。現地で水不足などはあまりなく、作況は平年並み。農家にとって米価上昇は収入増につながり、新潟経済の活性化要因となる」

――昨年7月に新潟初のグロース市場銘柄となるはずだったフラーは上場取り消しとなった。既存の優良企業の層が厚い半面、地元新興企業の育成が課題となる。以前、スタートアップ支援拠点として「ハードオフ・スタートアップ・シバタ」を開設されたが、ここから具体的な新規上場候補などは生じているのか。

「まだもう少し時間がかかろうが、それとは別に、昨年12月に私が社外取締役に就任したテクノクラフトという会社がある。ゴルフコンペの際などにスコアを入力するカートナビ(ゴルフカート運行管理システム)では全国約2,000コースの過半を握るほか、幼稚園バスなどの見守りや健康管理のヘルステックといった分野にも展開する」

――上場への動きは。

「麻雀で言えば『リーチ』が掛かった状態だ」

――そもそも新潟企業の利点はどこにあるか。

「日本海側ながら『日本の中心』とも言える地理的な優位性だ。高速道路に新幹線、飛行機も通じて全国どこでも3~4時間で移動できる。そして各地を回って実感したことだが、これだけ広大な平野の広がる地形は新潟が随一と言える。弊社も他の県が発祥だったら、とうに本社を東京へ移していたかもしれない」

他府県に例のない取り組み 東京証券取引所 岩永守幸社長

昨年初めて参加した本フォーラムでは、各上場企業の工夫あふれる取り組みや地元株主・投資家との熱心なコミュニケーションを目の当たりにし、他府県では例を見ないこのような取り組みに感銘を受けた。東証でも、地域経済の活性化を図る観点から、各地の自治体などと連携し、地域におけるスタートアップの成長や経営人材の育成を支援する取り組みを推進している。日本企業の変化の兆しが見えてきた今、東証としても、このような取り組みを継続・支援していきたい。(K)