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IPO2024年10月2日

IPO社長会見 グロースエクスパートナーズ “自走的DX組織”の実現を支援

グロースエクスパートナーズ(244A)が9月26日、東証グロースに新規上場した。コンサルティングとシステム開発を組み合わせ、「組織変革」と「IT変革」を軸としたDX(デジタルトランスフォーメーション)支援を大企業向けに行う。初値は公開価格を20.3%上回る1,841円。上場当日の記者会見で渡邉伸一代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

顧客の自走を支援……顧客の約8割が売上高1,000億円以上、創業50年以上のエンタープライズ企業。一般的なITコンサルティングは、コンサル側がベストプラクティスを持っており、それを顧客企業に提案して当てはめていくといったアプローチが多いが、われわれはまずワークショップなどで顧客自身に自らの事業価値を再定義していただくことからスタートする。その上で顧客企業が自らビジネスモデルを変革していく力を付けていただく、その支援をすることをエンタープライズDX支援と称している。どちらかというとコーチングに近い考え方だ。

出島型アプローチ……いわゆる人出しの派遣業とは異なる。エンタープライズ企業は1つの事業で数千億、1兆円といった売り上げ規模に上ることもあり、こうした事業を自ら変えていくことはなかなか難しい。反対勢力が生まれたり、組織の壁が立ちふさがったりといった課題が出てくるので、まずはDXの取り組みを行うための小さな組織を一緒につくるところから始める。そこでコンサルをしながら自らの企業価値を再定義してもらい、ビジネスをどうつくっていくのかを一緒に考え、システムの企画やお客さま自身に開発ができるような力もつけてもらう。ひとつずつ小さい成功を体験していただき、その成功をもって少しずつ本体の組織に適用していくような、段階的なプロジェクトを出島型アプローチと呼んでいる。

高速開発を実現するプラットフォーム……もう一つの強みとしているのが、データ駆動型プラットフォーム。これはわれわれが自社で開発したものだが、エンタープライズ企業だと既存のレガシーシステム(これは悪い意味ではなくて、長年事業を支えてきた強大なシステム)というのが必ずあり、そこに何か手を加えようとすると膨大な時間と費用がかかる。そういったことを回避するため、間にかませることで新しいデジタルサービスを立ち上げることを容易にする仕組みとなっている。

既存事業の成長加速……これまで着実に伸ばしてきた既存事業を、よりその伸びを加速することが成長戦略の柱のひとつ。そのためにエンタープライズ企業数を毎年3社程度伸ばしていくほか、年間取引金額が1億円以上の顧客数を着実に伸ばしていく。さらにその先は2億円以上、5億円以上と、1社当たりの取引を深掘りすることで売り上げを伸ばしていく。また、社員数を増やしつつ、その生産性を上げて利益率を上昇させていく。こちらもエンジニアリング数の伸びと一人当たり売上高を指標として定量的にモニタリングし、皆さまに開示していく予定。顧客の海外事業拡大に現地で伴走する取り組みの強化のため、海外出身社員を増やしている。

協力企業と新規開拓へ……これまではあまり営業をせずとも、お客さまからの紹介などでここまで伸ばせてきたが、この上場を機により高い成長が求められるだろう。われわれ自身に営業力をたくさんつけるというよりは、共創アライアンス(他社との営業協力)によって新規の顧客とのタッチポイントを増やしていきたい。一例として日本マイクロソフトとの取り組みが挙げられるが、こうした外部ベンダーとわれわれのDXビジネスは補完関係にあるものが多い。営業の手段を増やすのではなく、共創アライアンスにおける企画力やマーケティング力を強化することによって新規顧客の開拓を進めていく。

共創型事業拡大……当社は業界のリーダーである企業がお客さまというのが多い。直近では三菱UFJ銀行が地銀のシステムを統合していくといった記事も出ているが、このように業界の非競争領域に関しては、われわれのお客さま向けに作ったものをその先のお客さま向けに一緒に展開して、ライセンス収入を得るようなビジネスを強化していく。人依存がより低減されて利益率の改善につながる。(SS)

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