Aiロボティクス(247A)が9月27日、グロースに上場した。初値は公開価格を42.8%上回る2,514円。スキンケアの「ユンス」と美容家電の「ブライト」を中心にD2C(顧客への直接販売)事業を展開している。上場当日の記者会見で龍川誠代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
化粧品会社ではない……AIを活用したD2Cのブランド事業を展開している。ブランドはスキンケアの「ユンス」と美容家電の「ブライト」の主に2つ。機械が広告運用とCRM(顧客管理)施策のほとんどを行っており、独自開発の「セル」というAIシステムを自社で使い、自社のブランドを伸ばすというビジネスを展開している。AIが劇的に賢くなってきているため人手はそれほど必要なく、生産性高く事業が倍々で伸びていく。化粧品会社とは考えておらず、あくまでもAIテクノロジーを開発するソフトウエア会社と位置付けている。どのようなものでも売れるので、今後は化粧品にとらわれずアパレルやヘアケアなど様々なジャンルでブランドを展開していきたい。プロテインなど食品については、既にテストしている。
再現性高くブランド展開……「ユンス」の成長が続く中、立ち上げたばかりの「ブライト」は既に全体売り上げの4割程度を占めている。“再現性”をつくれており、こうした形でポートフォリオを組んでいきたい。当市場や商品について業界で私よりも詳しい人はなかなかいらっしゃらないのではないかと思うぐらい勉強を重ねている。市場への理解や考察を含め複合的な要因によって再現性をつくれている。海外に関しては中国で「ユンス」はかなり売れている。メンズ美容・コスメは、以前行っていたマーケティング支援事業の経験などからかなり難しいと感じている。私を含め美的好奇心、美的感度が一般的な男性より高い人は効果のあるものを活用していきたいと思うので、圧倒的に商品が充実している女性向けを使用する。わざわざ男性向けアイテムを投下することは今のところ計画していない。
ブランド追加とM&Aでまずは売上高1,000億円へ……われわれが期待する成長を達成するにはもっと基盤を強化する必要があり、本業の売上高はいったん1,000億円程度に持っていく必要がある。それぐらいまではM&Aを含めて様々な新規ブランドを投下していく。M&Aは国内に関してはかなり積極的にやっていきたい。それこそGENDA(9166・G)のように。たくさん欲しい会社はあるが、上場企業の方が市況もあってより割安。当社のシステムを搭載し運営させていただくことで2倍、3倍以上に利幅を上げていけそうな会社が複数ある。海外のD2Cとなると、AIマーケティングは広告配信プラットフォームに非常に影響を受ける。例えば中国はメタが存在せず、グーグルもユーチューブもなく、ラインも使えない。われわれのシステムが連携していない部分が多々あるので、台湾などならあり得るかもしれないが、海外のM&Aは今のところそれほど考えていない。国内は例えば売上高100億円ぐらいの上場企業が、時価総額数十億円で存在しているケースが結構ある。M&Aの際にはマネジメントの方を中心に友好的に僕らのメソッドを理解いただけるように努力するしかない。
意識する競合……D2C事業者はそれほどみていない。同じ領域と思っていないため。化粧品では強いて言うならポーラ・オルビスHD(4927・P)傘下で通販化粧品最大手のオルビス。一つのベンチマークとしている。社長の小林さんに株主になっていただいているが、かなり勉強させてもらっており、リスペクトしている。個人的にはエイピア(4180・P)はAI×マーケティングという軸で優れており、事業展開やシステムなどをいつも拝見している。自分としてはそうしたところと比較している。
1年以内に時価総額1,000億円目指す……売り上げは常に倍々成長を狙っている。2Q上場ということで今期計画はかなり保守的なものを出したが、実際は予算を上回っていきたい。利益も売り上げに連動してきっちり毎期、通期でもクォーターでも単月でも伸ばすことがわれわれの求める成長。上場はもちろん一つの通過点だが、長年の夢だったので大変感慨深く、泣きそうになっていたぐらい。ようやく自分が憧れ尊敬する様々な経営者と東証上場という同じ舞台に上がることができとても感動している。これに満足することはなく、今後、時価総額1,000億円、1兆円、10兆円と目指していきたい。もっともっとはるか高みを目指してやってまいりたいのでまだ1合目か2合目ぐらいのイメージ。今後の決算発表などを通じて私の話している内容の解像度がより高まり、『あぁ、こういうことだったのか』と理解してくださるかなと考えている。少なくとも1年以内に時価総額1,000億円を目指していきたい。(Q)