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インタビュー2024年10月28日

トップインタビュー トレジャー・ファクトリー 野坂英吾社長 リユース業界の雄、過去最高業績続く

多様な業態そろえ、物価高も追い風

リユース業大手のトレジャー・ファクトリー(3093・P)は、総合リユース、ファッション、スポーツアウトドアなど多様な業態を展開している。既存店売上高は37カ月連続増収中で、今2月期の中間決算は売上高が23%増収の196億円、営業利益は20%増益の17億円と2ケタ成長を遂げた。通期予想も過去最高業績を見込むなど快進撃が続いており、2027年2月期には売上高503億円、経常利益46億円を計画している。野坂英吾代表取締役社長に、事業内容や好業績の理由と今後の成長戦略を聞いた。

――創業のきっかけは。

野坂氏 創業は1995年で、東京・足立に第1号店を開店した。ゴミが社会問題となり、資源活用が社会的に求められる世の中に変わるタイミングだった。当時はリユースが当たり前ではなく、大学4年生の時に半年ほど現状をリサーチし、卒業旅行でアメリカを視察したあと、多くの方々に使ってもらうビジネスにしようとスタートした。

当初から家庭にあるものを幅広く手掛けていたが、服飾に関してはそれだけでも顧客ニーズがあり、買い取りも多かったため2006年に衣料・服飾雑貨専門の新業態「トレファクスタイル」を開始した。その後も専門業態を拡大し、現在は12業態になっている。専門業態を作ることで、深堀りができて顧客層を拡大し、発展してきている。さらに、引っ越し、不動産などリユース周辺事業も展開している。

――全国展開やEC(電子商取引)は最初から考えていたのか。

野坂氏 ゆくゆくは全国にと考えていたので、徐々にそれが実現できている。海外事業も創業20年のタイミングでタイのバンコクから始めた。人が生活しているところにはリユースのニーズがあると考える。ECもかなり初期から取り組んだ。ECとリアル店舗の両方の長所を組み合わせながら取り組んでいる。

――中間決算では過去最高業績となった。

野坂氏 リユースが世の中で当たり前になり、顧客の裾野も広がっていると日々実感している。物価高で安くて良いものを求めたいという顧客ニーズやインバウンド需要、顧客のESG(環境・社会・企業統治)への意識などもあり、外部環境も追い風になっている。引き続き堅調に推移できると思っている。

――好調の理由を詳しく。

野坂氏 1つは多様な業態を展開することで、様々なアイテムを買い取って販売できること。さらに、 店頭買取、出張買取、宅配買取といった様々なチャネルからも商品を調達できる。商品調達力と多様な業態があることでしっかり売り切るためのバランスを保てることが強み。取り扱いアイテムを徐々に世の中のニーズに合わせて変化させており、地域ごとにカスタマイズされた店舗展開をしている。単価も顧客数も伸びており、今後もこの両方をしっかりと伸ばしていく。

――出店戦略は。

野坂氏 まだ国内で出店している地域は限られており、出店余地は潤沢にある。今までより年間出店数を増やしており、下期の出店も10店以上ある程度、来期も一部決まってきているところもある。

――第2四半期(4~6月)は減益だったが。

野坂氏 新店用在庫確保を目的としたセンター(拠点)拡張移転による一過性のもの。各センターが手狭になっており、先々の仕入れ力、調達力強化のための布石。出店速度や既存店の強化につながる。通期予想は据え置いたが、事業規模は広がり、多様な人材が活躍できるようになっている。

――今後の成長戦略は。

野坂氏 まず、核となるリユース事業をしっかり成長させる。既存店を強化しつつ、出店を加速させる。海外事業は現状、タイ、台湾と2つの地域だが、その他の地域へも対応しなければと思っている。タイは通期黒字化できたので、その経験を他の地域にも生かしていきたい。新規事業のリユース周辺事業も大きく伸ばす余地がある。リユース事業の伸びと周辺事業は密接に関わっており、先行投資をしながらしっかり伸ばしていきたい。足元の事業の成長を考えると、(27年2月期までの)中期経営計画の先の事業成長をイメージしながら、先手を打っている。今期のセンターの拡張移転もそのような話だ。

リユースビジネスの良い所は景気の動向に左右されづらいこと。ただ、外部環境が良いとき、悪いときではビジネスの仕方が多少異なるので、外部環境をしっかり把握して、それに適したものを伸ばす。どのような環境でも事業を伸ばす余地はしっかりある。

――読者、投資家へのメッセージを。

野坂氏 店舗網が広がり、利用者が投資家になっているケースも増えている。身近な店舗を見ていただいたうえで投資対象として興味を持っていただければうれしい。(HS)