黒田グループ(287A)が12月17日、東証スタンダードに上場する。同社の前身は東証1部に上場していたエレクトロニクス商社、製造業の黒田電気。2018年3月、独立系ファンドのMBKパートナーズグループの傘下に入り、非公開化された。20年4月に黒田グループに商号変更、新たなガバナンス体制を整備、事業強化のための再投資、人材の確保・育成などを継続的に実施し、安定的な事業運営を実現。新規上場により、さらなるガバナンス強化、事業の持続的な成長、継続的な企業価値向上を目指す方針。
黒田グループは持株会社で製造事業と商社事業を行っている連結子会社29社(製造13、商社15、管理会社1)で構成されている。製造事業では、ニッチな事業分野で日本をはじめ、タイ、中国、ベトナムの各国の顧客に対して、液晶用配光膜印刷版・自動化装置、ハードディスク・ドライブ用部品、電力・電設資材、回路基板設計・受託開発、大型樹脂成形金型、産業モーター用アルミダイカスト製品といった固有技術を生かした製品・サービスを提供している。
商社事業では、アジア各国、米国などに拠点を展開、自動車関連業界を中心に顧客のニーズにあった商品・サービスを提供するほか、各国の顧客ごとにカスタマイズした供給体制を構築し、電気材料、一般電子部品、半導体、機器・装置などを納入している。
25年3月期は売上高が前期比4.5%減の1,210億円、税引き前利益は同4.8倍の56億円を見込む。製造事業でハードディスク・ドライブの市況の回復に伴い各種部品の販売が増加する見込み。生成AIの普及に伴うデータセンター用ニアラインモデルのハードディスク・ドライブの生産台数の増加によって各種部品の販売が前年から大幅に回復することなどが寄与する。商社事業では、中国の景気減速や在庫調整などはあるものの、自動車関連の部材販売が増加し、前年並みを見込む。車載関連はプリント基板含む電子部品、樹脂材料などの販売が堅調に推移する。
年間配当は60円を予定、同社では安定的な配当を目指し、親会社所有者帰属持分(除くその他包括利益)をベースとするDOE(株主資本配当率)を採用し、目標水準を7%としている。(M)
概要
●事業内容=・液晶ディスプレイ用印刷版、自動化設備、樹脂成形金型、HDD用部品、電力・電設資材、アルミダイカスト製品の製造・販売およびプリント回路基板の設計・受託開発
・エレクトロニクス業界および自動車業界への電子部品、電気材料などの販売
●本社=東京都品川区南大井5-7-9
●代表者=細川浩一代表取締役社長執行役員
●設立=2017年10月
●上場前資本金=116億4,200万円
●発行済み株式数=4,656万8,020株(上場時)
●筆頭株主=ケイエム・ツー・エルピー(上場前97.09%)
●売出株式数=1,214万8,200株(ほかにオーバーアロットメントで182万2,200株)
●仮条件=11月28日に決定
●ブックビル期間=11月29日から12月4日まで
●引受証券=SMBC日興、野村(共同主幹事)、大和、三菱UFJモルガン・スタンレー、みずほ、SBI、楽天、マネックス
業績推移(連結)
売上高 | 税引前利益 | 1株利益 | 配当 | |
2023.3 | 139,275 | 4,074 | 55.76 | ― |
2024.3 | 126,691 | 1,168 | 8.70 | ― |
2025.3(予) | 121,000 | 5,600 | 85.98 | 60 |
※単位100万円、1株利益・配当は円 |
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