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インタビュー2024年12月5日

トップインタビュー 歯愛メディカル(3540・東S) 清水清人代表取締役社長

歯科通販トップ、ニッセン子会社化で物流強化

最先端AI導入で治療の負担を軽減

歯愛メディカルは歯科医院向けデンタルケア製品の通信販売を手掛ける商社として2000年1月設立した。現在は国内約6万件の歯科医院との取引実績を持ち、歯科業界の通販事業でトップシェアを誇るほか、動物病院、介護・福祉施設、調剤薬局などにも販路を拡大。また、物流センター新設による歯科製品以外の通販事業の拡大、歯科技工分野での人工知能(AI)活用といった先進技術の導入も積極推進している。起業前には歯科医院の経営にも携わっていた清水清人代表取締役社長(写真)に今後の取り組みを聞いた。

――ニッセンHD子会社化で通販事業を強化、売上高は倍増の1,000億円目指す
7月にセブン&アイ・ホールディングス(3382・P)から通販大手・ニッセンホールディングスの全株式を取得し、子会社化した。ニッセンHDは女性向けマーケットで強みを持っており、今後は両社の得意分野を伸ばしていくことで通販事業全体の強化を図る。売上高は歯愛メディカルの約500億円に、ニッセンHDなどを合算していくと1,000億円が見えてくる。

物流の拠点となるのが昨年10月に完成した新本社ロジスティックセンターだ。新センターにはパレット自動倉庫など最新の機器や設備を導入した。人手不足の問題や働き方改革への関心が高まるなか、機械化によって利益率の向上を目指していく。さらに、ニッセンHDの商品を新センターでも取り扱う予定のほか、倉庫の在庫管理や物流業務を請け負う3PL事業の営業活動も開始しており、物流事業の一段のローコスト化を推進していく。

――歯科治療もいまやAIの時代だとか?
歯科治療で使うクラウン(かぶせ物)を作成する際に、従来は患者さんに印象材をかんでもらうことで歯型を取得し、そこに石膏を流して模型を作成した後、歯科技工士が模型上で技工物のワックス型を作り鋳造で金属冠を作る作業が必要だったため、完成までに日数を要した。患者さんは3~4回も通院しなければならなかったが、現在は口腔内スキャナと呼ばれるデジタルカメラで歯の印象を取得し、AIが自動でかぶせ物をデザインすることで、1歯当たり約40分で作成でき、場合により初めて歯科医院に来て1回で治療が終了することも可能になった。

韓国のImagoworks社との資本業務提携によって、歯のかぶせ物設計のAI自動化ソフト「Dentbird」を日本で専売している。また、6月には口腔内スキャナが保険収載され、歯科技工業界のデジタル化が今後加速していく見込みだ。口腔内スキャナの普及によって人員不足の問題解決の手助けともなるだろう。

――歯科医院のDX(デジタルトランスフォーメーション)化支援も加速させている。
深刻な人手不足の環境に対応している。自動つり銭機の「Pay Cube」は簡単なタッチ操作で請求金額が表示されるセルフ会計機能を持ち、会計業務の効率化と生産性の向上を実現した。もちろん、7月に発行された新札にも対応している。また、クラウド型予約システム「Ci Easy Apo2」ではLINE、ショートメール、Eメールを使い、休診日や診療時間外でも予約の受け付けが可能なうえ、来院前に問診もでき、予約日の接近を患者に知らせることでうっかり忘れにも対応している。

現在は、全国8カ所の営業所におよそ60人の営業社員を配置。デンタルショーを主要都市で開催して、歯科用チェアやCT・マイクロスコープといった大型機材のほか、つり銭機などの展示販売を行っているところだ。

――最後に投資家へのメッセージをお願いしたい。
1月の能登半島地震で被災した地域にお見舞いをかねて歯ブラシなどの物資をお届けした際に、多くのお客さまでありかつ株主の方から株価を上げてほしいといった要望をいただき、この点については役職員一同改めて認識を強くした。メディアの活用も含めてIR(投資家向け広報)を強化していくので、どうかご支援を賜りたい。