TOP  NSJアップデート  IPO  IPO社長会見 ククレブ・アドバイザーズ 「資本効率向上」トレンドに乗る
IPO2024年11月29日

IPO社長会見 ククレブ・アドバイザーズ 「資本効率向上」トレンドに乗る

ククレブ・アドバイザーズ(276A・G)が11月28日、東証グロースに新規上場した。初値は公開価格を31.5%上回る1,250円。同社は企業のCRE(企業不動産)戦略を支援するソリューションビジネスと、CRE戦略の効率的な実行を可能にする各種不動産テックを展開。上場当日の記者会見で宮寺之裕代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

企業不動産を有効活用

社名の由来はCompact CRE for ReBornの頭文字。CompactはCREの中でも大手の不動産会社があまり扱わない、金額規模で20億円以下をターゲットとしていること、また、ReBornには今あるストックを大切に使っていくという思いを込めた。自社開発の不動産テックを活用して業務効率よくやっているため、従業員数は12名(2024年8月現在)と少ない。

CRE戦略とは企業が不動産を売買する行為のみを指すのではなく、経営戦略や財務戦略の中で自社が持つ不動産の位置づ付けを可視化し、業績の良し悪しに関わらず有効活用していくこと。これがわれわれのビジネスの根幹となっている。

設立から5年、業績は順調

25年8月期は1Q(9~11月)も終わりに差し掛かったが、28日をもって契約が完了または決済が完了している売り上げについて、主力のCREソリューションビジネスは計画比で約41%の進捗。利益も同様に順調に推移している。往年30%ぐらいの利益率を叩き出しているが、今期も同様の水準を目指す。

独自のポジショニング

金額規模では中堅・中小の不動産会社と重なるが、中でも当社が得意とするのは物流、研究施設、工場など。いわゆる企業の事業活動に必要な不動産であり、もともと不動産としての流通量や情報量が少ないマーケットでもある。さらに当社は不動産の売買だけではなくコンサルティング機能を持つ点、不動産テックの製品をサブスクリプションサービスとして外部に提供し、マネタイズポイントがたくさんある点も特徴だ。

高い収益性と財務健全性も強みの1つであり、営業利益率は不動産業界の中でも抜きん出ている。今後も「収益性高×レバレッジ低」のポジションの中で他社との差別化を図っていきたい。

成長戦略

社内インフラとして、顧客への提案方法をチャットボットが回答してくれるという仕組みを作った。経験者でなくてもこのインフラを触りながら業務していけば、一定程度キャッチアップできる。この仕組みがわれわれにとっては武器になると考えており、今後3年で営業メンバー(現在は5名)を3~4倍に増やしていく。

もう一つはマッチングシステムのユーザー数と登録情報を増やしていく。ユーザー層としては金融機関、特に地方銀行がターゲット。地銀は地元の不動産情報をたくさん持っているが、ただ持っているだけでマッチングに生かしきれていない。担当者同士がいろんな情報を持ちながら、結果的にお互い引き出しに眠らせたままで気付いていないといったケースがある。既に上場前後で地銀へのアプローチは始まっており、非常に良い手応えを得ている。

「ククレブAI」は企業が開示している中期経営計画と有価証券報告書を自動的にモニタリングし、可視化する仕組み。従前は人力で非常に時間が掛かっていたところを端的に仕事ができる。また、可視化によって見えたニーズを「ククレブクレマ」に登録しておくと、システム内の情報が自動的にマッチングされる。これまで担当者の勘や経験に頼っていたビジネスをどんどんデジタル化している。

最近はサステナビリティレポートなど、企業が開示する資料の種類も増えているので、「ククレブAI」では現在、その分析対象を増やす仕組みを作っている。また、こうした機能は不動産業だけでなくコンサルティング会社などでも重宝される。(SS)

関連記事