NEXT NOTES 香港ハンセン・ダブル・ブルETN(2031)、中国H株ブル2倍(1572)、One ETF 南方 中国A株(2553)など中国ETFが急伸。中国政府が9日、従来よりも強い表現を用いて2025年に「金融緩和」と「財政支出」の拡大を進める方針を示したことが材料。
中国共産党指導部は9日の中国本土市場の引け後、来年の金融政策を「適度に緩和的」とすると発表。2010年以来の緩和に向けた政策転換となる。財政政策も従来の「積極的な」から「より積極的な」と表現を強め、消費を積極的に促進し、内需をあらゆる面で拡大する必要があるとした。また、「不動産と株式市場を安定化させる」方針を示したほか、共産党用語で景気押し上げを目的とした異例の手段の活用を意味する「超常規の逆周期政策調整」の強化も打ち出した。
これを受けて9日の香港ハンセン指数は2.8%高、9日の米国市場でもナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数が8.5%高、中国の動画サービス事業者でナスダック上場のビリビリに至っては21.6%高の急伸となった。この流れを引き継ぎ、10日の東京市場でも中国関連が買われ、ファナック(6954・P)、安川電機(6506・P)、資生堂(4911・P)などが上昇。10日の中国市場もハンセン指数は3.2%高、上海総合指数が2.5%高で寄り付き、その後も堅調に推移した。
ドル円相場も9日のニューヨーク外国為替市場では中国の景気浮揚期待を背景に市場心理が楽観に傾きリスク・オンの円売りが優勢、10日の東京外国為替市場も日銀12月利上げ織り込み低下と相まって一時1ドル=151円台半まで円安が進行した。これを受けトヨタ(7203・P)、ホンダ(7267・P)、スズキ(7269・P)など感応度の高い自動車株も軒並み高。
なお、自動車株を巡っては野村証券が6日、2025年セクター見通しレポートを発行し、トヨタをグローバルのトップピックとした。“トランプ関税”の影響を比較的受けにくいことが理由。一方でトランプ関税が全世界に課された場合に最も強く影響を受ける銘柄としてマツダ(7261・P)を挙げた。中国のトップピックはBYD。
目先11~12日に翌年の経済政策方針を決める中央経済工作会議が開催予定にあり、さらなる支援策の発表が予想されている。トランプ次期米政権の発足を来月に控える中、中国は米国との“第2次貿易戦争”に備え、年末から来年初めにかけて大規模な景気支援策を講じる可能性が高まってきている。世界第2位の経済が直面している問題は近隣諸国にも波及する。まずは同国の次の一手が注視される。
中国関連ではピジョン(7956・P)もマーク候補だろう。中国EC(電子商取引)対応が奏功し、同国哺乳瓶の市場シェアは44%へと5ポイント上昇し、過去最高(21年の45%)近くまで回復していることはほとんど知られていない。前期まで5期連続減益だが年間配当76円を維持し、配当利回り5%。販管費率は今期ピークアウトとされ業績、株価の反転期待がある。(Q)
中国 半導体でも攻勢 米国の規制に報復 エヌビディアが軟調
9日の米国市場でエヌビディア(NVDA)が下落、ハイテク株が全般に軟調だった。中国の国家市場監督管理総局が、同社に対し独占禁止法違反などの疑いで調査を始めたと発表したことが嫌気された。
米国は今月2日、AI関連など先端半導体の製造装置やソフトウエアなどの中国向けの輸出規制を発表していた。中国政府は3日に半導体の材料などとして使われる希少金属など重要鉱物の対米禁輸で対抗したが、今回の措置はこれに続くものとみられる。
エヌビディアは2020年に、中国当局から条件付き承認を得てメラノックス・テクノロジーズ(イスラエル)を買収したが、この条件に違反した疑いがあるという。
2日の対中規制では国の意向を受け既に独自の対中輸出規制を実施している日本やオランダなどが新規制の対象外となっていた。この日も東京市場では東京エレクトロン(8035・P)、アドバンテスト(6857・P)、ディスコ(6146・P)など主要な半導体製造装置(SPE)株が堅調に推移した。(M)