中計達成へ足取り順調
サービス拡充、コンサル連携で高収益化へ
INTLOOP(9556・G)はプロフェッショナル人材の提供とコンサルティングサービスを展開。自社社員とフリーランス人材で構成されるハイブリッドチームにより、顧客のニーズに応じた柔軟なサービス提供を可能としている。今7月期は連続最高益更新を計画と業績成長はさることながら、昨年は業務提携やアライアンスが相次ぎ、新規事業領域の拡大にも期待が高まる1年だった。林博文代表取締役=写真=に話を聞いた。
――昨年5月に発表したIdeinとのエッジAI分野での協業について、狙いや進捗状況を教えてほしい。
Ideinは昨今注目されるエッジAI(端末側で処理を行うAI)領域で稀有な存在。他社にはなかなかないサービスを持っており、当社のコンサルティングに応用できると考えた。逆に彼らも技術はあるが、お客さまへのサービス提案についてはさらに改善の余地があり、一緒にビジネスの提案が考えられるというところで、お互いにそこは相乗効果があると判断した。様々な業種に適用するパッケージを一緒に考え、(Ideinへの他の出資者を含め)既に何件か具体的に提案を行っている。滑り出しとしては上々で、今後は双方ブラッシュアップしながら、サービス展開をより良いものにしていく。
――AI関連では、P.A.I(パーソナル人工知能=デジタルクローン)の開発を行うオルツとHR(組織・人材)/コンサルティング領域の協業も発表した。
オルツはIdeinとはまた毛色の違ったサービス。質問に対する回答の精度や自然な会話が成り立つという点で、同社のAIクローンは非常に完成度が高い。社内・社外向けのFAQ(よくある質問)対応など、まずは単純業務から使えるのではと感じた。例えば、優秀なメンバーをモデルにいくつかクローンを作り、契約してくれた方は付加サービスとしてこのクローンに24時間相談できる、といったようなところからスタートしていこうと考えている。
――これらの協業は成長戦略上ではどのような位置付けなのか。
当社のコンサルティングサービスを補完するような技術を持つ会社との協業を通じて、サービス提供のバリュエーションを増やしていこうと考えている。高付加価値なサービスと連動してコンサルティングを売っていくことで、お客さまのメリットはもちろん、われわれとしても営業の入り口が広がる。特に「AI」はお客さまの関心も高く、トレンドとして外せない領域の1つと捉えている。
人手不足がさらに深刻化していく中で、効率化のためにはやはりテクノロジーが欠かせない。しかし、そのテクノロジーを作ること自体もかなりの人手を要する状況であり、そこもカバーしていかなければならない。様々なソリューションをそろえることによって、お客さまの戦略からテクノロジーまで、全てをカバーする存在を目指していく。
――2025年の抱負をお聞きしたい。
中長期経営計画“VISION2030”が本格的にスタートするのは今年から。27年までは売り上げを伸ばすための投資を継続する予定で、今年は引き続き人材投資や基幹システムの入れ替え、本社移転など、いわば”足場固め”の投資を行っている状況にある。27年以降は利益向上のための投資に移行し、最終的に営業利益率15%を目指す計画だ。
昨年は幹部メンバーの採用など自社の組織作りに注力していた。それなりに布陣も整い、今年は次の成長段階に行くタイミングとなりそうだ。今後は幹部を育てていかなければならず、そこも今年の転換期となるだろう。時価総額1,000億円は既存のビジネスでも達成できると思うが、さらにその先を見据えるのが自分の仕事だ。
中計にあるファンド系の事業もいよいよ本格的に動き出す見込みが出てきた。これも自分が中心となって昨年仕込んだものだが、担当者に任せられる段階になってきた。会社は幹部で成長させながら、自分はまた次の種をまきに行こうと考えている。