1月31日(金)のマーケット
1月30日の米国株式市場は反発。トランプ大統領が2月1日にカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税措置を発動すると表明したため、NYダウは終盤に一時急落したが、大統領就任前から発言していたことなので、NYダウはすぐに戻すというスパイク状の動きとなった。IBMは通期の堅調な売上高見通しと、AI関連の受注好調も示したため買われた。一方、マイクロソフトはAI製品需要に対応するデータセンターの構築が十分に進んでいないため、クラウドコンピューティング事業の成長が1~3月期も緩やかになる見通しを示したことで売られた。宅配大手のUPSは通期の売上高見通しがアナリスト予想を下回ったことで下落した。NYダウは前日比168ドル(0.38%)高の44,882ドル。NASDAQ総合指数は前日比49ポイント(0.25%)高の19,681。S&P500指数は前日比31ポイント(0.53%)高の6,071。
米商務省はディープシークが対中輸出規制対象の米半導体を使用したかどうかを調査と報じられ、脅威論の後退期待で終盤やや上げ幅を広げたが大引けでは鈍化。前場は米大統領がBRICSに対し新通貨なら関税100%と警告し、動揺した場面もあった。NECは業績上方修正と1対5の株式分割発表で大幅高。さくらインターネットは業績上方修正を好感。中外製薬は創業100周年記念配当の発表で高い。OLCは第3四半期の入園者数が会社想定を下回り下落した。
スタンダード市場では、AIフュージョンキャピタルが暗号資産投資事業を発表し大幅高。業務用食材卸のGFCはMBO(経営陣が参加する買収)発表で買い殺到。ウインテストは検査装置の新製品で3日続伸。三晃金属は業績上方修正と配当増額でストップ高。東映アニメは業績予想据え置きで失望。
グロース市場では、サブスクリプション関連のビープラッツが2件の特許取得でストップ高。ドローンのACSLは米国の販売代理店と追加のパートナーシップ契約を結び販売拡大期待で高い。衛星関連のSynsは続伸。レナサイエンスは大幅続落。ハートシードが売られ、ABEJAは反落。
日足チャート上では、十字足。強弱拮抗がうかがわれる。週前半は大きく売り込まれたが、その後は3日続伸で底堅さを見せた。一目均衡表の雲も上放れ、5日移動平均線上に浮上して週末を迎えた。週足では短い上ヒゲと長い下ヒゲを伴う陰線。13週移動平均線上で推移した。月足では、長い下ヒゲを伴う実体線の短い陰線。下値は3万8000円、上値は4万円のレンジ相場が続いている。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。
トランプ政権が発足して2週間が過ぎました。2期目のトランプ氏の進む道にはあいかわらず激しい嵐が吹き荒れています。
就任2日目に打ち出した「スターゲート」計画は、AI投資に5000億ドルもの巨額の投資資金をつぎ込むという壮大なものでしたが、それに対して1週間も経たないうちに大きな壁が立ちはだかりました。中国発のAI「ディープシーク」です。
開発コストがオープンAIの「Chat-GPT」の10分の1で済むそうですので、これが本当であれば既存の投資金額がまったく不要になります。今週は週明けから多くの半導体株と電線株が急落しました。
無敵と見られたエヌビディアにもやはりライバルは存在したのです。トランプ大統領はじめ米国の大手テック企業の首脳陣は、負けじと設備投資の積み増しと中国へのさらなる半導体規制の強化を訴えています。どこで決着するかまだ先行きは見えません。
しかしその間に株式市場では、生成AIや最先端テクノロジーの規制強化策とは別に、徐々に反転・上昇の構えを見せ始めています。その多くが鉄鋼や機械など、景気敏感株に属するセクターです。
この分野の銘柄群が一斉に動き始めると、株式市場には明るさがぐっと増してきます。ノーマークだったところに動きが出始めたという意味で、今年の節分(この週末です)はいつも以上に期待が持てる展開となりつつあります。決算動向に気をつけておきましょう。
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注目記事 Pick up
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【感応度良好 自社株買い候補を狙え】
日本証券新聞2月3日(月)紙面1面TOP記事掲載
大和証券が「発表期待30銘柄」を選定
決算発表もたけなわ。事前の東証開示によると、1月31日は298社で、前半戦のピークとなったが、社数ベースではむしろこれからが本番。2月第1週(3~7日)には837社が予定されている。発表内容次第で悲喜こもごもの光景を目にするのはこの時期に恒例だが、決算数字と同様に注目を集めるのが同時発表の自社株買いだ。
30日の自社株買い発表は11社。この11銘柄について、31日高値までの値動きを追うと、TREHD21.0%高(ストップ高)、シンプレクス20.0%高、アンリツ10.2%高など5%以上の上昇が7銘柄。2%以上の上昇が3銘柄。キヤノンのみ朝方0.5%高の後、反落に転じたが、前日上放れた反動という面もある。
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今日の市況概況
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1月31日(金)☆[概況/大引け]
終盤は上げ幅を拡大したが大引けでは鈍化
大引けの日経平均は58円高の3万9,572円、TOPIXは6ポイント高の2,788ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は607、下落銘柄数は976。出来高は18億9,969万株、売買代金は4兆6,090億円。
米商務省がディープシークが対中輸出規制対象の米半導体を使用していたかどうかを調査しているとロイターが報じた。
マレーシア、シンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)などから中国への組織的なAI半導体密輸が追跡されているという。
ディープシークの脅威論の後退を当て込み、日経平均は終盤上げ幅を拡大した。
ただ、大引けでは鈍化した。
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