アシードHD(9959・S)が着実な出直り波動を形成中だ。昨年2月高値711円からの押し幅に対し、前週末7日に3分の2戻し(669円)まで「あと1円」と迫っての目先小休止局面にある。
7日引け後に発表した今3月期第3四半期決算は4~12月の累計期間で売上高185億6,000万円(前期比4.4%増収)、営業利益7億1,600万円(同18.2%減)と増収ながら2ケタ減益にとどまった。
もっとも、これは昨年10月に酒類・飲料製造2社を製造と販売の機能別に分割する組織再編を実施したことによる影響が大きい。製造停止などから一時的に採算が悪化したためだ。実際、各部門のセグメント利益で見ると、①自販機運営リテイル事業2億8,700万円(同19.8%増)、②飲料製造事業6億3,600万円(同23.9%減)、③不動産運用事業1億6,400万円(同8.0%増)、④その他事業2,700万円(同94.1%増)となり、再編の影響も読み取れる。
短期的な余波はともかく、中長期的なコスト削減、品質管理向上、開発・マーケティング機能強化なども想定されるところだ。なお、会社側は通期の11.8%増収、23.8%増益見通しを据え置いている。
一方、決算と同時発表した「配当方針の変更」にも注目したい。従来、「配当性向30%を目安に適正な利益還元を継続」としていたのを「業績向上に応じて増配を行う累進配当を継続」と一歩踏み込んだ表現に改めた。もともと1993年の店頭登録以来一度も減配することなく、近年は徐々に還元を強化してきたが(9日時点の配当利回りは2.69%)、今後は収益拡大に伴ってさらなる増配加速も期待されてきそうだ。(K)