ZenmuTech(338A)が3月27日、グロースに新規上場する。
自社開発した秘密分散技術「ZENMU―AONT」を活用した秘密分散ソリューション『ZENMU』シリーズの展開と、秘密計算ソリューションの開発・提供を行っている。秘密分散技術は暗号化技術によって情報を複数の分散片に分け、全ての分散片がそろわないと復元が不可能な独自のアルゴリズム。従来からの情報を守るための暗号鍵やパスワードが不要であり、情報の分散片はそれぞれ意味を持たない。仮にデータの分散片が保管されているデバイスの紛失や盗難にあったとしても、情報を“無意味化”して守ることができる。
『ZENMU』シリーズはライセンスの販売形態として、①ライセンスのみを一括して販売するフロー型②ライセンス契約と保守契約およびアプリケーションのアップデート対応が一体となったサブスクリプション契約③ライセンス利用に係る保守単独契約――の3モデルがあり、このうち②③をストック型形態と位置付けている。販売経路は主に代理店を介しており、近年は代理店との協業を通じてライセンス数1,000件以上の大規模案件を獲得することが多い。
主力の情報漏洩(ろうえい)対策ソリューション「ZENMU Virtual Drive」は、各デバイスに分散保管した無意味化されたデータをPC上で結合し、復元されたデータにアクセス可能な状態にするといったもの。無意味化されたデータであれば保管先も高価なストレージである必要はなく、情報セキュリティソリューションの選択肢の1つであるVDI(デスクトップ環境を仮想化してサーバー上に集約する仮想デスクトップ)に比べて、導入・運用に係るコストを抑えられる。他社ブランドとしてOEM(相手先ブランドによる製造)提供しているものを含め、利用者は現在約10万人(サブスクリプション契約と保守契約の合計値)。
また、秘密分散技術を顧客のソリューションに組み込むための製品として、秘密分散ソフトウエア開発キットを提供している。ここでは顧客の利用目的に応じたソフトウエア開発キットのライセンス収入を得るほか、ライセンス利用に伴う保守契約を結び、保守料を収受する。また、OEM商品の開発に際して、コンサルティング料を収受するほか、OEM商品の収益に応じたロイヤルティを得る。OEM商品ではこれまでにデジタルウォレット、防犯・監視カメラなどへの採用実績がある。
なお、ドローン分野では2022年からドローン技術を持ったパートナーとともに秘密分散技術ソリューションをドローンや移動型ロボットに搭載する技術「インテグリティ・ドローン」の事業化に取り組んでおり、足元では技術検証の段階に入っている。このほか、昨今導入が広がっているAI監視カメラや画像解析技術を持つ企業などを対象にOEMパートナーの開拓も進めている。(SS)
概要
●事業内容=暗号技術の応用である秘密分散技術を利用したセキュリティソリューションおよび秘密計算ソリューションの開発・販売
●本社=東京都中央区銀座8-17-5
●代表者=田口善一代表取締役社長CEO
●設立=2014年3月
●上場前資本金=2億1,965万円
●発行済み株式数=131万2,800株(上場時)
●筆頭株主=岡積正夫(上場前12.21%)
●公募株式数=24万株
●売出株式数=4万8,000株(ほかにオーバーアロットメントで4万3,200株)
●仮条件=3月6日に決定
●ブックビル期間=3月10日から14日まで
●引受証券=岡三(主幹事)、SBI、松井、アイザワ、岩井コスモ、マネックス、むさし
業績推移(単独)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2023.12 | 440 | 56 | 74.09 | ― |
2024.12 | 648 | 84 | 93.01 | ― |
2025.12(予) | 850 | 145 | 126.65 | ― |
※単位100万円、1株利益は円 |