TENTIAL(325A)が2月28日、東証グロースに新規上場した。リカバリーウェア「BAKUNE」をはじめとしたコンディショニングブランド「TENTIAL」を運営。初値は公開価格を30%上回る2,600円だった。上場当日の記者会見で中西裕太郎代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
健康×機能性で独自のブランドポジショニング
昨今は健康意欲の高まりと同時に、多くの人が健康課題を自覚している。主力商品であるリカバリーウェア「BAKUNE」のヒットの裏側には、まさに多くの日本人が睡眠不足や慢性的な疲労感を抱えた状態で仕事をしているという現状がある。こうした中で、私たちはトップアスリートが試合のために体を整えるような行為をコンディショニングと定義付け、誰もが簡単にコンディショニングができるようなアイテム群を商品化してお届けしている。スポーツブランドなのかと言われることも多いが、私たちは「日常生活の機能性」をテーマにしている。睡眠環境や歩く瞬間、働く環境をサポートするブランドというポジショニングだ。
自社チャネル中心で高い粗利率を実現
BAKUNEは発売以来右肩上がりに成長し、2025年1月期は100万枚を突破するなど大きな反響をいただいている。ほかにも掛け布団や快適な生地のスーツ、インソール、サンダルなど様々な商品を100点以上展開しており、それほどマーケティングに注力せずともかなり大きく成長している商品も多数ある。特徴はオンラインを中心に販売・マーケティングをしているところ。売上高の7割以上がEC(電子商取引)で、粗利率も69.9ポイント(24年1月期)と高い水準を維持している。商品の種類が増えることで購入点数・購入額が上がっていること、また、高価格帯の商品を投入し、その中からしっかり売れ筋の商品が出てきていることを要因に、購入件数・購入単価とも右肩上がりに成長している。
強み・優位性
テンシャルが成長している背景として、①データドリブンで再現性の高いマーケティング②科学的根拠に基づいた高付加価値な商品開発③ロイヤリティの高い顧客基盤――が挙げられる。①は、私たちは社内にエンジニアチームを有しており、通常のメーカーとは多少異なる、いわゆるSaaS企業やインターネット企業のような組織体制を取っている。その結果、世の中で売れているものや検索ニーズを分析したり、お客さまの声を即座に分析して商品開発に生かしたりなど、このスピード感が私たちの成長を後押ししている。
②については、お客さまの定性的な声だけでなく、第三者による効果をしっかり検証してきている。例えばBAKUNEに関しては早稲田大学の睡眠研究所と共同研究して成果を証明したほか、日系大手企業と共同で実証実験も行った。24年9月には第二種医療機器製造販売許可を取得。昨今は様々な会社がリカバリー市場に参入してきている中で、確かな品質・信頼のもと、引き続き市場をリードしていけるよう体制を強化していきたい。
③については、これらの取り組みによって新規のお客さまも増加しているが、既存のリピーターのお客さまも増加している。直近の実績だと3割以上が既存のお客さまによる売り上げになっており、私たちのビジネスはストックではなくフロー型ではあるが、一度商品を買って満足いただいたお客さまがさらにほかの商品を買ったり、ギフトで送ったりと一人当たりのLTVも上がってきているような状況だ。
成長戦略
売上高に関しては、基本的に購入件数と購入単価をいかに上げていくかが重要。そのためにはまずマーケティング活動と、価値ある商品を持続的に開発し続けていく。マーケティングについては、昨年末に大型のマスプロモーションを実施したところ、それまで1ケタポイントだった認知率が18.3ポイントまで上昇した。まだまだ伸びしろはあると感じており、50%、60%まで拡大していきたい。また、昨年5月より会員プログラムを導入し、ロイヤリティや関係性構築に向けて取り組んでいるが、これもかなりポジティブに推移している。今後もプログラムの強化によってさらなるLTVの向上や、お客さまに対して価値を提供できるようなサービスを追加していきたい。(SS)