ダイナミックマッププラットフォーム(336A)が3月27日、東証グロースに新規上場する。
高速道路や一般道などを計測・図化し、自動運転や先進運転支援システムに有用な自動車向けHDマップ(High Definition Map=高精度3次元地図データ)を生成・販売。また、HDマップ生成過程の計測業務を通じて収集した高精度3次元データを活用し、自動運転以外にもソリューションを提供している。
HDマップは機械が読み込み、制御に活用されることを目的とする。このため従来の一般的な地図データ(SDマップ)と比べ、立体性(道路の構造や起伏を表す高度情報や標識などの立体構造物情報)・保有情報(道路の曲率や勾配、停止線と信号機の対応付けなど)・位置情報においてより高い情報が求められる。データ精度に関してはセンチメートル級を実現している。
日本政府主導で日系自動車メーカー10社などが出資して設立。2019年に米GMの投資先だった米HDマップ会社を完全買収し、以降、日本・北米・欧州・韓国・中東とグローバル展開。ダイナミックマップという高精度な位置情報基盤をグローバルに構築する「ディープテック型のスタートアップ」に位置付けられる。
強みは、①日系自動車メーカーや米GM、日本政府などの優良な顧客基盤②グローバルで150万キロメートルキロメートル超(内訳は北米120万キロメートル、欧州25.5万キロメートル、日本3.3万キロメートル、韓国2万キロメートルなど)を誇る高精度3次元データのカバレッジ③世界初の自動運転レベル2プラス・3の実現に寄与した高い技術力による競争優位性――の3つ。
自動運転はレベル0~5まで6段階に区分され、レベル1や2では車体制御は主にカメラ、ミリ波レーダー、LiDARを用いている。
一方、高度レベル2(レベル2+=ハンズオフ走行、自動レーンチェンジなどが可能)ではHDマップが広く採用され、さらにシステム主体の車両制御となるレベル3・4・5では、機械の可読性、制御への利用容易性の観点で特に有用な技術とされる。
主な収益は、自動車メーカーなどから受注するHDマップの新規整備・更新といった「プロジェクト型売り上げ」と、HDマップ搭載車両の販売台数に応じて得るライセンスフィーおよびメンテナンスフィー、整備済み地図データ提供に伴うライセンスフィーといった「ライセンス型売り上げ」の2類型。
赤字経営だが売り上げは拡大基調。今3月期は、国内は複数の国家プロジェクト受注によるプロジェクト型売り上げ拡大、海外は北米での新規道路整備をはじめとするプロジェクト型売り上げ拡大と、量産車へのHDマップ搭載台数増加によるライセンス売り上げ拡大を見込んでいる。(Q)
概要
●事業内容=自動運転・先進運転支援システムなどに利用される高精度3次元地図データ(HDマップ)の生成・販売および、HDマップ関連技術を用いた(自動運転以外の)多用途での高精度位置情報・ソリューションの提供
●本社=東京都渋谷区渋谷2-12-4
●代表者=吉村修一代表取締役社長CEO
●設立=2016年6月
●上場前資本金=1億円
●発行済み株式数=2,315万8,850株(上場時)
●筆頭株主=INCJ(上場前40.88%)
●公募株式数=434万4,000株
●売出株式数=32万100株(ほかオーバーアロットメントで69万9,600株)
●仮条件=3月10日に決定
●ブックビル期間=3月11日~17日
●引受証券=SMBC日興(主幹事)、大和、みずほ、SBI、野村、岩井コスモ、マネックス、楽天、松井、岡三、あかつき
業績推移(連結)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2023.3 | 3,681 | ▼3,453 | – | 0 |
2024.3 | 5,567 | ▼2,490 | – | 0 |
2025.3(予) | 7,072 | ▼1,734 | – | 0 |
※単位100万円、1株利益・配当は円、▼は損失 |