3月14日(金)のマーケット
3月13日のNYダウは4日続落、ナスダックは反落。トランプ政権による鉄鋼とアルミニウムへの追加関税の対抗策として、EUは関税を表明した。合計で最大260億ユーロ(約4兆1千億円)相当の米国からの輸入品に報復関税を発動する見通しで、バーボンウイスキーなどの酒類や、ハーレーダビッドソンといったオートバイを対抗措置の対象とする。これに対して、トランプ大統領は欧州産のワインやシャンパンなどのアルコール飲料に200%の関税を課すと表明した。こうした関税の応酬が景気悪化を招くと警戒された。ドイツやフランスの株式市場も反落。加えて、ロシアのプーチン大統領が13日の記者会見で、米国とウクライナが合意した30日間の即時停戦案について、「敵対行為を終わらせる提案には同意する」としつつ、「長期の平和をもたらし、根本的な危機の原因を除去するものでなければならない」と述べ、現状の停戦案を事実上、拒否したため、NYダウは一時689ドル安となった。テスラやアップル、メタ・プラットフォームズ、パランティア・テクノロジーズが安い。インテルは最高経営責任者(CEO)の交代を発表し買われた。次期最高経営責任者に元同社取締役会メンバーで、米ソフトウエア会社ケイデンス・デザイン・システムズのCEOや会長を務めたリップブー・タン氏を起用すると発表したため、経営再建が期待された。NYダウは前日比537ドル(1.30%)安の40,813ドル。NASDAQ総合指数は前日比345ポイント(1.96%)安の17,303。S&P500指数は前日比77ポイント(1.39%)安の5,521。
日経平均は上昇。UAE高官が半導体輸出規制緩和を求め来週訪米との報道でアドバンテストやデータセンター関連のフジクラが買われた。ロシア軍がクルスク奪還だと停戦協議に応じるという見方も後押した。防衛関連と銀行が堅調。キヤノンは自社株買い発表で高い。TOPPANが保有株売却による特別益を発表したため売却銘柄と目されたリクルートが下落。セブン&アイはカナダのコンビニ大手による買収は米当局の反トラスト法審査が2年以上との見方で安い。
スタンダード市場では、金子眼鏡などを傘下に持つJEHは好決算と大幅増配で急騰した。シキノハイテックは米社と業務提携で2日連続ストップ高。フェローテックが7日続伸。ストレスチェックの全企業義務化でARMが昨年来高値。オルトプラスが売られ、バリオセキュアが反落。
グロース市場で、トラースOPはデジタルサイネージプラットフォームがドコモショップ約2000店舗で採用されストップ高。ぷらっとホームは1対3の株式分割でストップ高。ハートシードは臨床試験の講演内容が報告され急騰した。タイミーは戻り売り。3Dマトリックスが大幅安。
日足チャート上では大陽線。5日移動平均線(3万6896円)を上抜き、3万7000円台を回復した。パラボリックも陽転値(3万7020円)に到達。一旦の底打ちを示唆する形状となった。週足では長い下ヒゲと短い上ヒゲを伴う実体線の極端に短い陽線。一目均衡表の雲の上限で踏み止まった格好となった。メジャーSQ通過で反転攻勢できるか、ビッグイベントを控える来週の動きが注目される。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。今週も厳しい1週間がようやく終わりました。週末に日経平均は続伸して引けました。しかも37,000円の大台を回復しています。
火曜日に日経平均はザラ場で一時▲1000円を超える下げに見舞われて、厳しい状況がマーケットには急速に広がりました。ただしその時点が大底で徐々に落ち着きを取り戻しています。
現在の市場を取り巻く3大ネガティブ要因、トランプ大統領による関税、それに付随する景気後退、日銀の利上げモード、それに加えてウクライナのぜレンスキー大統領とトランプ大統領との首脳会談の決裂、これら大きな悪材料がすべて重なってもたらされたリスク回避の動きです。
マーケットは2週にまたがり急落しましたが、それが徐々に元の状況に修復されると言う展開だったと見られます。
それが今週末は半導体のアドバンテスト、キオクシアホールディングスが上昇し、さらに光ファイバーのフジクラ、銀行株では楽天銀行、非鉄の住友金属鉱山、あるいはコーセー、資生堂と言う最も厳しかった銘柄にまで買いが広がっています。リスク資産に投資資金が戻り始めています。
SQも終えてかろうじて37,000円を回復したことから、来週はさらなる戻りが試されるところです。やはり業績の好調なところをピンポイントで物色していくことが肝要です。
1月決算企業の決算発表も佳境を迎え、来週以降の動きに期待したいところです。
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注目記事 Pick up
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【東証改革、次は「グロース市場」】
日本証券新聞3月17日(月)紙面1面TOP記事掲載
上場後の成長性問われる 時価総額基準の引き上げ案など浮上
東証再編に伴う上場維持基準の経過措置対象企業、いわゆる“暫定組”が3月末以降、順次タイムリミットを迎える。2月17日時点で経過措置の対象となっている企業は3市場合わせて266社。期間内に基準を満たせない企業は上場廃止になる可能性があり、対応が急務となっている。
東証の要請に応え、プライム市場では「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の開示のほか、自社株買いなどPBR改善のための株主還元策が盛んに行われるようになった。とはいえ、改革はまだ始まったばかり。4月からはプライム企業に日本語と英語の同時開示が努力義務として課せられるようになる。
次に東証改革の的となりそうなのが、IPOを含むグロース市場だ。2022年4月の市場区分の見直し後、プライム・スタンダード市場の株価は上昇傾向にある一方でグロース市場の株価は低迷。本来は高い成長可能性を有する企業が属するべき市場だが、実際は新規上場時から時価総額が10倍以上に成長した会社は全体の5%にとどまる。また、他の市場区分に比べて流通株式比率が低い企業が多く、50%未満の会社が3分の2を占める。
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今日の市況概況
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3月14日(金)☆[概況/大引け]
上昇。UAE高官の訪米予定とロシアのクルスク州奪還、台湾有事を材料視
大引けの日経平均は263円高の3万7,053円、TOPIXは17ポイント高の2,715ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は959、下落銘柄数は600。出来高は19億1,685万株、売買代金は4兆8,369億円。
日経平均は上昇。
アラブ首長国連邦(UAE)の高官が来週、米国を訪問し、エヌビディア製半導体の輸出規制の緩和を求める見通しと報じられたため、エヌビディア向けにテスタを供給しているアドバンテストやUAEの目的がデータセンター建設なので、データセンター関連のフジクラと古河電工が買われた。
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