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IPO2025年3月21日

IPO社長会見 JX金属 先端素材の開発で成長目指す

JX金属(5016・P)が3月19日、プライム市場に上場した。半導体・情報通信分野にスパッタリングターゲット材や圧延銅箔などの先端素材を手掛けるほか、製品の材料となる銅やレアメタルの資源開発や、製錬・リサイクル事業を手掛け、上流から下流までをつなぐサプライチェーンを展開する。初値は公開価格820円を2.8%上回る843円、21日は900円台に乗せるなど、堅調な展開。上場当日の会見で林陽一代表取締役社長(写真)が語ったポイントは以下の通り。

先端素材分野で差別化……長期ビジョンに基づき「装置産業型企業」から「技術立脚型企業」への転身により、激化する国際競争の中にあっても高収益体質を実現し、半導体材料・情報通信材料のグローバルリーダーとして持続可能な社会の実現に貢献することを基本方針としている。半導体材料・情報通信材料を成長のコアと位置付け、装置産業型である資源、製錬はそれに対し原材料をしっかり供給するサプライチェーンという位置付けに変えていこうと取り組んできた。先端素材分野で技術の差別化を通じ、市場成長を上回る成長を目指す。

初値について……マーケット環境が芳しくない中で高く評価していただいた。株主の皆さまには当社の成長ストーリーに期待して投資していただいたと思っている。直接マーケットに立つことになるので投資家、ステークホルダーの意見を聞き、われわれ々自身がより速いスピードで成長できるようになると考えている。「フォーカス事業」と位置付ける最先端の半導体材料・情報通信材料を軸に、全力で成長を目指す。

事業環境の変化に合わせ臨機応変に…銅価格に関してはTC/RC(製錬マージン)の悪化が続いている。「ベース事業」と位置付ける製錬・リサイクル事業については中長期的に、リサイクル事業をやることによって製錬の事業性をより高めていく、より高効率にやっていく方針だ。製錬では不純物として回収されるレアメタルもフォーカス事業に非常に有益なので、より高収益で投下資本効率のよい形を目指す方向でやっていく。リサイクルの比率が上がれば製錬の比率は下がるが、レアメタルのサプライチェーンの確保をどうするかを中心に考え、一番効率的な方向を探る。

現在の経営環境……半導体材料はシクリカルに落ち込んでいたが、最近は最先端の生成AI、AIサーバーに使われる半導体は非常に力強く動いている。その一方で、ボリュームゾーンである(スマートフォンやパソコンなどの)デバイスは回復途上にある。ただ。25年半ば以降はウインドウズ10の更新需要が出てくること、新しいデバイスにAI機能が搭載され始めていること、大手半導体メーカーの新工場が稼働することなどを踏まえると、成長路線に戻ってくるのではと考えている。年明けのディープシークショックのような低コストAIの台頭についても、新しい技術でデバイスがどんどん動いていくことはわれわれにとっては非常にポジティブと考えている。ブレイクスルーが起こることによって、デバイス需要が拡大すればプラスだ。

トランプ関税の影響……半導体分野でも関税の論議があることは承知しており、日本に対する影響も見極めなければならない。しかし、われわれは米国に半導体材料の工場を既にに持っており、どういう形になったとしてもこの拠点の活用が対応のカギになると考えている。

成長戦略の考え方……いま持っているわれわれの技術を生かして、グローバルかつニッチな市場で圧倒的なトップに立てる分野を狙っていく。それは今までもやってきたとことだし、われわれのビジネスモデルだ。半導体ターゲット材メーカーではなく、半導体材料メーカーになりたいと思っている。先般、先端パッケージ事業推進室を立ち上げた。我々は前工程に強いが、いま後工程も非常に注目されており、次世代の製品につながる活動を続けていく。M&Aについては大型のものは考えていないが、現在の技術の伸ばす、補完する新しい可能性を持ったM&A、業務提携が基本路線だ。(M)

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