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トップ記事2025年4月9日

REITセクター 「強気」継続 第一人者のSMBC日興・鳥井裕史氏

コンフォリア・レジデンシャル(3282・週足)

トランプ関税ショックを経て落ち着きどころを探る状況下、9日の主要指数は前日(8日)のNYダウ続落を受け反落。総じて2~4%安となる中、東証REIT指数は0.2%安にとどまり相対的に頑強だった。

REIT相場を左右するファクターの一つ「金利」を巡っては、トランプ関税に伴う景気減速懸念の観点から日銀利上げ後退期待が浮上する一方、ベッセント米財務長官が貿易赤字削減の一環で円安修正手段として日銀利上げに期待を示した。

金利上昇懸念が引き続き意識される状況だが、SMBC日興証券の鳥井裕史シニアアナリストは「賃料増額と資本効率改善による増配期待が金利上昇を相殺しよう」と8日発行の年後半展望レポートで指摘。セクター投資判断は「強気」継続とした。鳥井氏は国内REIT市場分析の第一人者。セクターアナリストランキングで10年連続1位を獲得している。

足元の東証REIT指数は1,660ポイント前後にある。これに対し、メインシナリオに基づくターゲットは1,900ポイントと従来通り。前提となる国内長期金利は従来の1.1%から1.4%に現状を踏まえ上昇させたが、賃料増額や資本効率改善を背景に今後3年間の年率DPU(1口当たり分配金)成長率を従来の△2.4%から△3.7%に引き上げた。

今後3カ月程度の目先に関しては、不安定な株式市場や金融政策動向の不透明感などから「1,600ポイント台が続く可能性もあるが、その水準は押し目買いの好機と判断したい」と指摘。メインシナリオ収益を前提とした場合、2025年3月末時点の東証REIT指数は、国内長期金利が1.9~2%に上昇することを織り込んだものとの見方も示した。

サブセクター別では、「オフィス系」「ホテル型」に加え、オフィスや住宅、ホテルを持ち、分配金の成長に期待が持てる「成長系総合型」を注目に挙げた。「住宅型」に関しては従前は相対的割高感から推奨していなかったが、24年後半以降にアンダーパフォームを続けたことでバリュエーション面からも投資に値する状況になっているとした。

個別株では8日、コンフォリア・レジデンシャル(3282)を投資判断「2」から「1」に引き上げた(目標株価は34万5,000円で据え置き)。東急不動産をスポンサーとする住宅特化型REIT。9割が東京23区に立地する。24年7月期および25年1月期のテナント入れ替え時の賃料変動率は△10%前後と高水準を維持。昨年9月末から今年3月末の半年で東証REIT指数を16.5%ポイントアンダーパフォームし、NAV(純資産総額)倍率から判断した絶対価値や他の住宅型と比較し割安感があると判断した。

日本プライムリアルティ(8955)も「2」→「1」、目標株価を39万5,000円→42万5,000円へ引き上げた。東京建物がメインスポンサーで、オフィスを中心に商業施設にも投資する複合型REIT。オフィス市場回復や好調な不動産売買市場を踏まえ、分配金成長を重視した戦略に転換する。今後は年率2%を上回る分配金成長を目指す。(Q)

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