ユーピーアール(7065)が6月12日、東証2部に新規上場(IPO)する。
パレットなどの物流機器のレンタル・販売を行う。パレットとは荷物の保管や構内作業、輸送のために使用される薄い箱型の荷台。木製、プラスチック製、金属製など用途ごとに多彩な種類が存在する。パレットの上に荷物をまとめて載せることで、フォークリフトで一度に上げ下ろしができるため、荷役作業のすべてを人力で行う場合と比べて作業の効率化が可能となる。
同社は木製パレットの製造、販売およびレンタルでスタート(1979年)したが、顧客ニーズに対応してプラスチックパレット、ネスティングラックやカゴ車といった金属製品などさまざまな場面で利用される物流機器を扱い、発展してきた。今年3月末で全国に12の営業所と174のデポ(サービス拠点)を運営している。パレットなどのレンタルがグループの売上高の約3分の2を占め、保有しているパレット(約400万枚)を顧客に効率よく貸し出すことで収益をあげている。
ドライバー不足によるパレット輸送化への流れが継続しており、特に昨年7月の西日本豪雨災害によって鉄道の貨物輸送網が遮断されてトラック輸送が急激に増加。運送会社はバラ貨物を敬遠し、パレット輸送が急拡大した。このため、2019年8月期の上半期における国内レンタルパレットの日販(1日あたりの売上高)は前期比12.5%増となった。下半期は災害による影響は落ち着くものの、パレット輸送への移行は継続すると見込み、日販は同8.6%増加を計画している。
このほか、パレットの販売、作業者の腰・身体的負担を軽減するオリジナル商品「サポートジャケット」の販売を行っている。海外事業はグループでシンガポール、タイ、マレーシア、ベトナムの4カ国5拠点で物流機器のレンタル・販売を行っている。さらに、アクティブタグ(通信距離が長く、センサーを内蔵できる)を搭載し、クラウド上でパレットの管理が可能なスマートパレットをレンタルする事業は新規顧客の開拓が進み、売り上げが伸びている。
売上高は全体の約1割だが、「コネクティッド事業」を展開している。物流業界向けの位置情報ソリューション、遠隔監視ソリューションのレンタル・販売を行うほか、カーシェアリングシステムのレンタルおよび販売、自主運営、運営受託を展開している。
19年8月期業績は、売上高112億6,100万円(前期比8.6%増)、経常利益7億2,400万円(同9.9%減)の予想。事業別の売上高は、パレットレンタルなどの物流事業が102億1,300万円(前期比7.4%増)、コネクティッド事業は10億4,700万円(同22.2%増)を見込む。
概要
●事業内容=パレットなどの物流機器のレンタルおよび販売など
●本社=山口県宇部市寿町3―5―26(登記上の本店所在地)
本社業務は東京都千代田区内幸町1―3―2内幸町東急ビル12階
●代表者=酒田義矢代表取締役社長
●設立=1979年3月
●上場前資本金=9,600万円
●発行済み株式数=(上場時)153万2,000株
●筆頭株主=酒田義矢(上場前71.78%)
●公募株式数=38万4,000株(自己株式の処分)
●売出株式数=7万6,400株(このほかオーバーアロットメントで6万9,000株)
●仮条件=5月23日に決定
●ブックビル期間=5月27日から31日まで
●引受証券=野村(主幹事)、東海東京、三菱UFJモルガン・スタンレー、SMBC日興、SBI、ひろぎん、松井
業績推移(連結)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2017.8 | 9,312 | 269 | 135.41 | 2.5 |
2018.8 | 10,367 | 803 | 493.86 | 2.5 |
2019.8(予) | 11,261 | 724 | 329.86 | 25.0 |
※単位100万円、1株利益と配当は円 |