ピー・ビーシステムズ(4447)が9月12日、福岡証券取引所Qボードに新規上場する。

企業の基幹システムをクラウド化する「セキュアクラウドシステム事業」が柱。単一企業内で利用するクラウドをプライベートクラウドと呼び、企業、団体向けのシステムのプライベートクラウド化が事業の中心。売上高100億円～500億円の中堅企業を主な顧客ターゲットとしている。国内のプライベートクラウドの市場規模は2022年には2兆円強と17年に比べて4.9倍になるとの民間の調査機関の予測もある。

プライベートクラウドを実現する主要なソフトウエア企業であるCitrix(シトリックス)、VMware、Microsoftの製品を熟知しており、顧客企業にとって最適な選択を行うことを第一に考え、派生する多数のセキュリティ、ストレージ、サーバーなどのハードウエア商品およびソフトウエア商品を含めた総合的な提案を行っている。仮想化ソフトウエア3社の中では、シトリックス関連ビジネスが事業全体の売上高の約37%(18年9月期)を占める。04年から15年連続でシトリックス認定販売パートナーのトップカテゴリーに認定されている。

セキュアクラウドシステム事業は、サーバーの仮想化や強固なセキュリティ環境の構築を行う「プラットフォーム」、現場から発生するニーズを満たした機能を製品化して販売する「プロダクト」、顧客が望む独自機能を満たすためのスクラッチ開発(手作り開発)を行う「カスタマイザー」の3つの区分で構成。プライベートクラウド構築だけでなく、企業システム全般を対象としたサービスを中堅企業向けに提供している。

もう一つの事業がVR(仮想現実)シアター4D王の技術開発および製造販売を行う「エモーショナルシステム事業」。4D王は360度スクリーンに切れ目なく3D(三次元)映像を投影する特許技術を基にした移設可能なミニシアター。特許(立体映像の投影方法および立体映像の投影装置)を取得している。

円筒形のスクリーンの中に客席が設置され、スクリーンに囲まれた空間に映像が縦横無尽に飛び回り、観客を突き抜ける特殊効果と映像に同期した立体音響、突風、地面の揺れによって、360度に展開するストーリーに観客を没入させるという独自のVR空間を作り上げる装置。軽量な3D眼鏡を使用することで一度に16名～100名が同時に視聴・体験・感動を共有する「体験共有型VRシアター」と言える。17年6月には従来品より運搬、設置、解体を簡易化した可搬型のシアターである4D王ギャロップを投入した。4D王において上映するコンテンツ制作も行っている。

7月末で4D王の常設設置は遊園地を中心に国内17カ所、海外2カ所の合計19カ所。最近では博物館や科学館で設置されるようになったほか、工場見学など産業系をはじめとした様々な用途に対応するシミュレーターとしての利用が検討されるなど販売・設置先が遊園地系以外にも広がりつつある。

このエモーショナルシステム事業は18年9月期に4D王の受注遅延から売上高が大きく落ち込み、セグメント損失を計上した。新市場・新分野の開拓、新たな代理店獲得による販路拡充など営業戦略の転換を行った。19年9月期の第3四半期累計ではセグメント損益は黒字化している。

19年9月期の業績は売上高17億7,200万円(前期比19.3%増)、経常利益1億2,200万円(前期は1,400万円)の予想。事業別の売上高はセキュアクラウドシステムが16億4,600万円(前期比12.3%増)、エモーショナルシステムが1億2,500万円(同6倍)を見込んでいる。

●事業内容=企業の基幹システムをクラウド化する「セキュアクラウドシステム事業」、VRシアター4D王の製造販売を行う「エモーショナルシステム事業」
●本社=福岡市博多区東比恵3-3-24
●代表者=冨田和久代表取締役社長
●設立=1997年2月
●上場前資本金=9900万円
●発行済み株式数=130万9200株(上場時)
●筆頭株主=冨田和久(上場前28・5%)
●公募株式数=15万株
●売出株式数=6万株(このほかオーバーアロットメントで3万株)
●仮条件=8月22日に決定
●ブックビル期間=8月26日から30日まで
●引受証券=エイチ・エス(主幹事)、SBI、FFG、西日本シティTT、岡三、東洋、エース