モダリス(4883)が8月3日、マザーズに新規上場する。
同社が開発した独自のプラットフォーム技術である「切らないCRISPR技術(CRISPR-GNDM技術)」を用いて遺伝子治療薬の開発を行っている。
CRISPR-GNDM技術はゲノム編集技術がベース。目的遺伝子の発現(細胞内での出現量)をオン・オフすることを可能にしたもので、いわば「遺伝子スイッチ」として機能するユニークかつパワフルな創薬技術(モダリティ)。通常のゲノム編集と異なり、遺伝子の切断を行わず効果を発現させる技術で、6000を数えると言われる遺伝子疾患の原因遺伝子に対して治療法を生み出すことが可能になる。
ビジネスモデルは、パートナーにCRISPR-GNDM技術を開放し、パートナーの選定したターゲットにパートナーの資金で治療薬の開発を行う「協業モデルパイプライン」と、同社がターゲットの選定を行い自己資金で治療薬の開発を行う「自社モデルパイプライン」の2種類がある。
「協業モデルパイプライン」は、同社のプラットフォーム技術を使用することに伴う共同研究開発の一時金を受領する。共同研究開発契約後は、同社の米国子会社でパイプラインの開発を行い、共同開発のマイルストン収入(パイプラインの開発進捗に応じて、設定したいくつかの目標を達成するごとに一時金として得られる収入)を受領する。上市後は売り上げの一部からロイヤルティ収入などを受領するが、ライセンス契約後のパイプラインの開発および販売はパートナー企業に委ねられており、同社の売り上げ予測は困難。
「自社モデルパイプライン」は同社が一定の段階まで開発を進めた後にパートナーとのライセンス契約を行い、ライセンスの契約一時金を受領する。パートナーはそれ以降の開発および販売を引き継ぐことになり、その開発に応じて同社はライセンスの開発マイルストン収入、上市後は売り上げの一部からライセンスのロイヤルティ収入および一定の売り上げ条件を達成した場合にセールスライセンス収入を受領する(パートナーがコントロール)。
今年5月末時点で、5品目の「協業モデルパイプライン」、2品目の「自社モデルパイプライン」を持つ。前者の「MDL-201」「MDL-202」はともに筋肉が疾患領域。アステラス製薬との間で、契約一時金およびマイルストンの合計で380億円以上の契約を結んでいる。そのほかに上市後の売り上げに応じた販売ロイヤルティが設定されており、開発の進捗にしたがって収益を段階的に獲得することになる。「MDL-201」「MDL-202」はともに前臨床試験の段階。このほか、「MDL-204」(中枢神経領域、パートナーはアステラス製薬)が初期開発における「研究」段階、「MDL-205」(同、パートナーはエーザイ)、「MDL-206」(同、パートナーはアステラス製薬)がともに初期開発における「探索」段階。
「自社モデルパイプラインは、「MDL-101」(疾患領域は先天性筋ジストロフィータイプ1A)が「研究」段階、「MDL-102」(中枢神経領域)が「探索」段階。 2020年12月期の業績は、事業収益11億円以上(前期は6億4,400万円)、営業利益3億5,000万円以上(同1億5,700万円)、経常利益3億円以上(同1億4,600万円)を予想している。
概要
●事業内容=コアとなるプラットフォーム技術である「切らないCRISPR技術」を用いた遺伝子治療薬の研究開発
●本社=東京都中央区日本橋兜町16-5
●代表者=森田晴彦代表取締役社長
●設立=2016年1月
●上場前資本金=13億円
●発行済み株式数=2,720万株(上場時)
●筆頭株主=ライフサイエンスイノベーションマネジメント(上場前17.86%)
●公募株式数=210万株
●売出株式数=60万株(ほかにオーバーアロットメントによる売出が40万5,000株)
●仮条件=7月10日に決定
●ブックビル期間=7月14日から20日まで
●引受証券=みずほ(主幹事)、SBI、SMBC日興、いちよし、エース
業績推移(連結)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2018.12 | 65 | ▼213 | ▼10.84 | 0 |
2019.12 | 644 | 146 | 5.96 | 0 |
2020.12(予) | 1,100以上 | 300以上 | 9.63以上 | 0 |
※単位100万円、1株利益は円、▼は赤字 |