室町ケミカル(4885)が2月26日、JASDAQに新規上場する。
1917年(大正6年)に売薬の製造販売を目的として設立されて以降、医薬品をはじめとした様々な事業に取り組んできた。現在は、医薬品、健康食品、化学品の3つの事業を軸に、長年培ってきた化学技術を核とした技術を活かし、製品・サービスを提供している。
医薬品事業は、原薬(医薬品の有効成分)の販売・製造を主に行っている。中国、インド、オランダなどの原薬メーカーなどから国内の製薬会社や医薬品商社の求める原薬を調達するほか、自社での原薬合成、原薬の異物除去や精製などの加工を行い販売している。自社内で日本薬局方に基づいた試験・分析ができる体制も持っており、原薬の輸入・製造・加工・分析・試験と、原薬のトータルサービスを提供している。同社は、原薬商社としての機能と原薬メーカーとしての機能を併せ持っている。商社としての経験から原薬製造のための原料や中間体を海外メーカーから直接調達でき、メーカーとしての経験から自社試験による時間短縮・コスト削減、開拓した調達先の品質向上指導などにより付加価値を高めることができる。
健康食品事業は、主にスティックゼリータイプの健康食品の企画・製造を行っている。健康食品の通信販売を行う会社や健康食品メーカーなどから受託製造を主に行っており、製品の生産のみを行うOEMに対して、商品設計から関与するODMが大多数を占めている。同社は長年の経験から得たマスキング(味や匂いを包み隠す)技術を有しており、味や香り、食感などを調整し、食べやすく美味しい製品として提供している。
化学品事業の主力製品はイオン交換樹脂および分離膜。イオン交換樹脂は、イオン交換機能を持つ合成樹脂で、純水の製造や排水中の重金属除去など様々な分野で使用されている。
経営上の課題は、まず医薬品事業では、輸入原薬のシェア拡大、受託加工・開発案件の獲得。健康食品事業はマーケティング力の向上、新包装形態「Tパウチ・ショット」の拡販。
化学品事業では、海外イオン交換樹脂メーカーとの協業による製品開発。そして、エネルギー産業や精密機器産業向けのイオン交換樹脂の拡販を強化していく。エネルギー産業では、家庭用燃料電池をはじめとした燃料電池システムに使用されるイオン交換樹脂の拡販を行っていく。精密機器産業では、回路の小型化・高集積化によって、極限まで不純物が含まれない薬品が求められてきており、高純度のイオン交換樹脂のニーズが高まっている。
2021年5月期の業績は、売上高47億8,600万円(前期比9.3%減)、経常利益3億100万円(同8.2%増)の予想。配当は年15円(前期は3円)の予定。
概要
●事業内容=医薬品の製造・販売、健康食品の企画・製造・販売、イオン交換樹脂の販売・加工
●本社=福岡県大牟田市新勝立町1-38-5
●代表者=青木淳一代表取締役社長
●設立=1947年7月
●上場前資本金=6,000万円
●発行済み株式数=387万5,000株(上場時)
●筆頭株主=村山哲朗(上場前37.85%)
●公募株式数=97万株
●売出株式数=50万株(ほかにオーバーアロットメントによる売出が22万500株)
●仮条件=2月4日に決定
●ブックビル期間=2月 8日から15日まで
●引受証券=野村(主幹事)、FFG、みずほ、SBI、大和、楽天、岡三
業績推移(単体)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2019.5 | 5,392 | 108 | 55.99 | 3 |
2020.5 | 5,280 | 278 | 17.16 | 3 |
2021.5(予) | 4,786 | 301 | 74.33 | 15 |
※単位100万円、1株利益、配当は円 |