アピリッツ(4174)が2月25日、JASDAQに新規上場した。ウェブソリューションとオンラインゲームを手掛ける。初値は上場2日目に公開価格の4.7倍の5,600円を付けた。上場当日の記者会見で、和田順児代表取締役社長執行役員CEOが語ったポイントは次の通り。
顧客の取引継続率高く……ウェブソリューション事業は収益の柱。クライアント企業が顧客との接点になるフロント部分のみで、社内システムは作らない。顧客から見ると収益の柱となるEC(電子商取引)などを手掛ける。顧客のビジネスが成長すれば当社も成長する。企画、開発、運用、戦略・分析の全行程を内製で提供するのが特徴。過去いろいろな顧客にサービスを提供したノウハウから口コミ機能やプッシュ機能などのASPサービスもある。20年前からやっており、顧客の取引継続率も高い。新規の顧客分、成長している。
受託ゲームをきっちり……オンラインゲーム事業は自社ゲームの開発、他社からの受託、クリエイターなど人材派遣をしている。21年1月期は自社ゲームは不作だったが、受託業務と人材派遣が安定した収益基盤。自社ゲームそのものでばくち的に収益を上げるというより、受託での売り上げをきっちりと伸ばしたい。その研究・開発と位置づけ、受託ゲームにエンジンを再利用できるものを作ることを最大のミッションとしている。コーエーテクモHD(3635)のように自分たちでゲームエンジンを作り、いろいろな会社に提供するモデルを目指している。
コア事業は成長続く……21年1月期の売上高の成長は少し鈍化したように見えるが、収益の柱であるウェブソリューションと、ゲームの受託開発、人材派遣事業は20%成長し、引き続き成長できる。自社ゲームは予測しにくいが年1本ぐらい挑戦する。自社ゲームが不作だったので、一過性ととらえてもらえば。
JASDAQがふさわしい……当社は22期目の比較的歴史がある会社で、JASDAQがふさわしいと思った。上場への挑戦は今回が3回目になる。上場できるときにしようと思った。私は4代目の社長で、慶應義塾大学の学生が集まって起業した。1回目の挑戦はリーマン・ショックで業績に陰りがでた。2回目は2015年で、当時自社ゲームの収益がでたが、中心はパソコン向けブラウザゲームで、収益構造の転換を行ってからにしようと断念した。今回は事業、収益モデルができ、いきなり業績が悪くなるのは考えにくいと判断した。事業上の課題は、日本でデジタル人材が取り合いになっていること。当社は人がいないと何もサービスできない。採用と教育で価値の高い人材にしていく。
人材派遣を拡張……人材派遣事業では、今はゲームのクリエイターの派遣をしているが、ウェブデザイナーなどウェブソリューション事業の派遣にも広げていきたい。上場が決まり信用が上がって、劇的に引き合いが増えた。DX(デジタルトランスフォーメーション)で人材が不足していることを痛感した。