マクビー×テモナ連携「長く使い続ける」をカタチに
サブスク運用システムを提供するテモナ(3985)の佐川隼人代表取締役社長と、高いLTV(※)予測力で顧客企業の売り上げ拡大を支援するMacbee Planet(マクビー、7095・東マ)の小嶋雄介代表取締役社長、そしてマクビーの子会社で解約防止チャットボット開発・運営などに取り組む「Smash」の石山真也代表取締役CFOに、経済アナリストの馬渕磨理子氏が聞く後編。広告のあり方など話は盛り上がった。
馬渕氏 マーケティングは“刈り取り型”からLTVを意識したものになる、とのこと。
佐川氏 刈り取るために“あおる”広告が結構ある。「すごいだろう」とバーンと出てきた商品だが、使ってみると全然すごくなかった、という。それよりも、この製品・サービスにはこういうストーリーがあって「自分は昔こういう体験したよ」といったところに消費者が共感する、そんな方向に広告やマーケティングがどんどん移行している。
小嶋氏 広告とのギャップがあまりにも多くなると「だまされた」となってしまう。業界全体で是正する必要はあるが、まずは当社が、消費者に正しい情報をしっかり届けて、良いサービスと出会ってもらうことが重要だと考える。
石山氏 「共感」は当社が手掛ける解約領域でも重要なポイントだ。そもそも消費者が解約ページを訪問するのは、企業側がうまくサービス提供できなかったことの証。この失敗を繰り返さないよう最適解を見つけ出すことが大事。解約時の不満、多くは入会時に期待していた効果とのかい離だが、これをあらゆる切り口から分析している。解約に向き合う作業はツラく積極的にはなれなかった領域だが、だからこそ、今まで発見されなかった答えを見つけることができる。
馬渕氏 テモナとマクビーは今年4月に業務提携をした。
佐川氏 当社はサブスクやEC(電子商取引)事業を始める企業に必要なシステムとノウハウをセットにしたSaaSサービス「サブスクストア」を提供している。これは「インフラ」であり、ここには、誰が・どの商品を・いくら買ったなど、膨大な情報が蓄積されている。マクビーと連携することで、「結果」だけでなく、この属性の利用者はこのような行動をとるだろう、解約の理由はこう、だからこのタイミングでこういう広告を出そうといった提案がサブスクストア利用企業に対して可能になる。
小嶋氏 当社はテクノロジーの活用が強み。世の中に存在するビッグデータを粒度細かく分析して、有効活用できるものだけを抽出、今回は、既に利用者の多いテモナ「サブスクストア」内のデータとひも付けることで「長く使ってもらう」を実現しつつ、当社のLTV運用の精度そのものを向上させることができ、さらに「サブスクストア」の使い心地も向上するといった好循環をイメージしている。
馬渕氏 サブスク、LTV向上、解約、それぞれ点だったものが線でつながるイメージだ。最後に今後の展開を。
佐川氏 サブスク浸透は今後も続く。利用する事業者の規模、種類、経営課題、商品の売り方はまるで違うため、それぞれに合わせた形でサービスを開発・提供していくことになる。
小嶋氏 LTV分析の精度を高めていくのはもちろんだが「領域」も拡大余地がある。ネットだけでなくオフラインのデータもLTVにどうやって結び付けるか、今のうちにイメージしていきたい。
石山氏 チャットボットの精度を高めつつ、一方で“人間らしい”コミュニケーションも重視している。ロボットだから言える本音もある。このノウハウを解約以外でも提供できるようになればいい。
※LTV:Life(Time Value、顧客生涯価値)とは、企業がある顧客から生涯にわたって得られる利益のこと