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その他2021年9月16日

J―REIT&インフラファンドの“注目株”

前週末10日で、東京市場にREIT(不動産投信)が初上場してちょうど20年になる。また、今年はインフラファンド登場から5年の節目の年でもある。日経平均が31年ぶりの高値に買われる一方で、こうした高利回り上場商品への関心も急速な高まりを見せている。日本証券新聞では10日、名古屋で個人投資家向けセミナーを開催した。第1部は、東証インフラファンド市場に国内初で上場したタカラレーベン・インフラ投資法人(9281)の髙橋衛社長、第2部では、温泉・温浴施設をポートフォリオにした唯一のJ―REIT、大江戸温泉リート投資法人(3472)の本多智裕財務部長が登壇。特色や課題、今後の展開などについて説明した。第3部はストックウェザー「兜町カタリスト」編集長の櫻井英明氏による株式講演会で、足元の市況や様々な銘柄の動向を話した。第1、2部における主な説明内容は以下の通りだ。

「脱炭素」機運が追い風に

タカラレーベン・インフラ投資法人

インフラファンドの仕組みは、投資法人がインフラ施設を保有し、発電事業などを行うオペレーターに貸し出すことで賃貸料を得て、利益の90%を投資主に配分するものだ。ほかの投資法人には風力・地熱・バイオ発電を対象とするところもあるが、当社の投資対象は太陽光発電施設だ。社会貢献とともに安定的なキャッシュフローや収益を確保し、投資主価値の最大化を目指している。

これまで4度の増資を行い、運用資産合計額は上場時の76億円から昨年末で507億円に達してきた。これまで10回配当したが、すべて期初に示した見通しを上回ることができた(うち9回は4%以上の増額)。

分配金は、「稼いだお金」による利益分配金と、いわゆる「資本の払い戻し」である利益超過分配金に分かれる。当社の場合、前者の比重が87%とインフラ7社でも最も高い(平均63%)。

政府は2050年のカーボンゼロ目標を掲げており、2030年には全電力の38%を再生可能エネルギーで賄わねばならない。2020年現在ではまだ19%だ。太陽光発電施設による発電需要の高まりは追い風に作用する。

20年間のFIT(固定価格買い取り制度)終了後の売電価格は、現在の40円/キロワット時から8~10円程度への低下を想定している。当社では、17年間で借入元本をゼロとするなど、コスト圧縮によって十分耐えられるように対応を進めている。一方、大地震リスクについても、施設自体が地中に大きな杭(くい)を刺して成り立っているため被害はほとんどないと想定しており、専門家の検証も受けている。

コロナの影響、軽微にとどまる

大江戸温泉リート投資法人

当社の特色は、温泉・温浴施設をポートフォリオにしていること。引き継ぎ手のない温泉施設を取得し、リノベーションして活用している。館内を浴衣姿で移動できるようにし、“温泉テーマパーク”といった形態が好評を博している。江戸情緒を楽しめる大江戸温泉施設は全国で37館だ。

自社ホームページやコールセンターを利用した効率的な集客や顧客対応によって宣伝コストを下げ、その分を還元する形で利用料を低く抑えている。

コロナ禍という未曾有の危機下では、感染症の専門家のアドバイスに沿って運営している。客室の稼働率は約80%だ。

ほかのJ―REIT各社と比較して、有利子負債比率が低く、安定した財務体質を保っている。1口当たりNAV(1株純資産に相当)も毎期着実に増加してきた。コロナ禍にあっても、ホテルREITのような悪影響は及んでおらず、分配金に大きな崩れはない。もともと子育ての終わったシニア層がメインの顧客層で、来館者の99%が日本人のため、インバウンド需要消失のダメージがほとんどないためだ。

今11月期から株主優待を廃止したが、偽造の利用券流通が確認されたためで、施設運営不振のためでは決してない。

現在は外出自粛によって平日のシニア層の来館が減っているが、ワクチン接種拡大に伴って今後の戻りに期待が持てる。そして、いずれ訪れる「コロナ収束後」には、リーズナブルな価格で利用、宿泊できる安・近・短モデルの大江戸温泉は、再びにぎわいを取り戻すことになるだろう。

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