「顧客本位の運営」と「企業文化の浸透」へ まずは体制整備、社員教育に注力
JIAグループの一員となり、9月に再スタートを切ったJIA証券(旧三京証券)。今回はバックオフィス、コンプライアンス・リスク管理の立場から会社を支える水野明彦取締役、山田稔取締役に話を聞いた。
――JIA傘下入りから早3カ月、何か変化はあったか。
水野「親会社が変わり、経営方針も変わった。それにより今後は取り扱う商品も変わってくる。バックオフィスは資金管理、リスク管理が業務の中心。金融機関として、そしてJIAグループの一員として、決済リスク等の管理に関してはこれまで以上に慎重に行うよう心掛けている。環境が変わり、社員のモチベーションも高まっているように見える」
――目下、取り組むべきことは。
水野「我々のような規模が小さい会社は“人”が重要となる。これからの時代は単純に株の案内、マーケットの説明ができればいいというところから、顧客の年齢や立場を考えて本当に必要なものを提案できる会社になっていかなければならない。当面は顧客のライフプランに合わせた提案ができるような仕組みづくり、社員教育に力を入れていく」
山田「コンプライアンス・リスクに対する当事者意識を持ってもらうことが大切。これから営業部門を中心に人数が増えていくこともあり、研修や勉強会、社内のコミュニケーションを図りながら、風通しの良い組織風土を醸成していかなければならない」
――今後、JIAグループの商品を取り扱うことになる。
山田「JIAの金融商品はいわゆる『みなし有価証券』であり、当社としては初めての取り扱いになる。まずは当局への届出や二種業協会への加入手続きが必要。今はその準備を進めているところであり、実際の取り扱いは来期以降になるだろう。社内では取扱商品の仕組みやリスクを把握するための勉強会などを行っていきたい」
――昨今は金融庁から証券界への通達もどんどんアップデートされている。
水野「具体的には①顧客本位の業務運営の推進、②サイバーセキュリティリスクの管理、③アンチマネロン――の3点が当面の重点項目と認識している。このうち②、③に関してはテクニカル要素が大きく、そこは当局の求める水準を満たすよう粛々と対応していく形になると思うが…。特に①については単にコンプライアンス的なルールとして整備するというよりも、JIAグループの『金融を通じて社会に貢献する企業でありつづける』という経営理念と合わせて、会社のカルチャーとして根付かせていく必要がある」
山田「法令順守は当然のことながら、大きな枠組みとして顧客本位の業務運営を推進していかないと顧客からの支持は受けられない。社内で法改正や改訂などの情報共有を図ることはもちろん、やはり社員一人一人が金商業者としてあるべき姿を考えて行動することが重要だ」
――最後に、今後の抱負をうかがいたい。
水野「バックオフィスの業務はある意味100%できていることが当たり前であると考えている。その上で、バックオフィス部門として如何に、会社、グループの収益、そして顧客利益にどう貢献していくかを考えていきたい」
山田「繰り返しになるが、社内のコミュニケーションをしっかりして風通しの良い組織風土を築いていきたい。また、JIAグループの証券会社としてコンプライアンス意識を持って対応していく」
JIA証券株式会社 取締役 水野明彦
複数の金商業者等で主にバックオフィス業務に20年以上従事。2017年よりJIA証券管理部門役員に就任。
JIA証券株式会社 取締役 コンプライアンス部長 山田稔
金融畑を歩んで30年以上。証券会社をはじめとする複数の金融機関を渡り歩き、金融コンサルタント業や内部監査など様々な業務を経験。JIA証券には2021年7月に入社し、9月にコンプライアンス担当役員に就任。