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特集・その他2015年3月12日

☆パチンコ・パチスロ特集2015 関連企業が続々と上場果たす

1兆7,065億円超! 東証に上場する主要パチンコ・パチスロ関連企業14社の時価総額を合算した数値(2月23日現在)だ。これは任天堂(7974)旭化成(3407)セコム(9735)に匹敵する時価総額規模であり、これに香港取引所メインボードに上場するダイナムジャパンホールディングスの時価総額を加えると、1兆8850億円超となり、東京ガス(9531)の時価総額を上回り三井トラスト・ホールディングス(8309)と肩を並べる規模だ。いわば、株式市場には多くのパチンコ・パチスロ関係企業が株式を公開していることを示す数値でもある。

■平和、SANKYO上場が先駆けに

そのパチンコ・パチスロ関連企業の株式市場との関係は、今から約26年6カ月前にさかのぼる。現在のJASDAQが店頭市場と呼ばれていた時代にパチンコメーカーの平和(6412)が1988年8月に株式上場を果たしたことから始まる。平和がいわば、株式上場の門を開いたのだ。その3年後には同じくパチンコメーカー大手のSANKYO(6417)が2社目として上場。さらに2年後にはパチンコホールの周辺機器業界では初となるマースエンジニアリング(6419)が登場することになる。2003年3月にはパチンコ・パチスロ機の企画開発を手掛けるフィールズ(2767)がJASDAQに上場。いずれも株式市場では人気銘柄となり、株価形成も順調に推移していくことになった。04年に入ってはホール向け広告会社のゲンダイエージェンシー(2411)、06年には日本ゲームカードが上場しその後、日本レジャーカードシステム、ジョイコシステムズを経営統合する形でゲームカードジョイコホールディングスが誕生(11年)と、その上場企業数は順調に増加するとともに、続々と東証1部企業へとステップアップする企業が増えていくことになる。

そして、07年2月にはパチンコ・パチスロ機のヒットメーカーでもある藤商事(6257)がJASDAQに上場した。その後、株式市場にパチンコ・パチスロメーカーの新規上場は途絶えているが、有力な株式未公開メーカーはまだ多数存在しており、その登場期待がマーケットにはある。

ちなみに、もともとカメラ・釣り具メーカーだったマミヤ・オーピー(7991・2部)は上場が1965年2月だが、2008年4月にホール向け紙幣搬送システム、09年4月にホール向けシステム関連事業に進出し業態が変更されたため、厳密にはパチンコ・パチスロ関連として上場を果たしたわけではない。

■取引先企業の上場続く

さらに、株式市場ではパチンコ・パチスロ向け部品供給やソフト関連で事業的に深いつながりを持つ企業も続々と株式上場を果たしている。

01年12月に店頭市場(現JASDAQ)に上場したユークス(4334)は、昨秋に業績を増額修正し第2四半期売上高を増額修正、そして営業損益は赤字予想から一転して黒字となった。その背景にはスマートフォンアプリ関連とともに、パチンコ・パチスロ関連のロイヤリティー収入が好調であったことが寄与した。米国アップル社向けの液晶工場の誘致計画が持ち上がっている石川県白山市に製造拠点を持つEIZO(6737)はパチンコ機向けディスプレーを手掛け、旧社名ナナオとして02年3月に東証2部に新規上場し、1年後の03年3月には東証1部へ市場変更した。

また、02年12月にやはり当時の店頭市場に上場し08年に東証2部、09年3月に東証1部企業となったアクセル(6730)も昨夏に通期営業利益予想を上方修正。パチンコ・パチスロ機市場向けグラフィックスLSIは若干苦戦したものの、メモリモジュール製品やLED(発光ダイオード)ドライバLSIが特定顧客向けから大幅に計画を上回る見通しとなった。デジタルハーツとして08年2月に東証マザーズ上場、翌年2月に東証1部に市場変更し、13年10月に持株会社となったハーツユナイテッドグループ(3676、HUG)はデバッグ事業において、パチンコおよびパチスロ向けが重要取引先となっている。

■近年も関連企業は増加

こうしたパチンコ・パチスロ関連企業とビジネス上で結びつきが強い企業は、近年も株式上場を果たしている。

11年11月に東証マザーズに上場したポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス(3657)はパチンコやパチスロなど遊技機器を含めたゲームなどソフトウエアの不具合を検出するデバッグ事業が主力。新規上場から1年後の12年11月には東証1部へ市場変更とスピード出世を果たす。また、昨年11月27日、東証マザーズに新規上場したCRI・ミドルウェア(3698)の場合、「CRIWARE」ブランドのミドルウェアを開発し、これをゲームメーカーなど向けに許諾販売しているが、音声と動画を圧縮し、機器を選ばずスムーズに再生する技術で、主にゲームやパチスロ・パチンコ機器などエンターテインメント分野で利用されている。

このように、パチンコ・パチスロ関連企業の株式上場は、機器メーカー、周辺機器・システム企業、関連部品企業、広告サービス企業、ソフト関連企業へと広がり、パチンコホールの香港証券取引所への上場で新局面に入ってきたと言えるだろう。

■JPX400構成銘柄も登場

パチンコ・パチスロ業界は業界の自主規制などから、その業績動向が左右されやすい特性がある。これを各企業は経営の多角化や自主努力によって対応、パチンコ・パチスロ関連企業は高い収益力を相対的に維持している。たとえば、ゲームカードジョイコホールディングスの場合は、ホールとプレーヤーニーズをくみ取った主力商品の「ビーレックス」にフルカラー5インチ液晶を搭載した新機種「ビーレックスイー」を開発し、既存商品の機能拡張(カードユニット、メダル貸機の機能追加など)、コスト削減(システムセンターの更改)に加え、新規事業領域の創出にも取り組んでいる。ゲンダイエージェンシーは今年4月に愛媛県松山市に前濃く20拠点目となる営業拠点を新設するなど営業エリアの拡大を推進している。

こうした努力によって、関連企業は成長を維持しているばかりでなく、積極的な株主還元とIR活動を実施しているところが多く、JASDAQやマザーズから1部市場に早期に市場変更を達成する企業が多いことも特徴となっている。それを象徴するのが、平和とSANKYOが「JPX日経インデックス400」構成銘柄に選定されていることにあるだろう。「JPX日経インデックス400」とは、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした「投資者にとって投資魅力の高い会社」で構成される株価指数。日本証券新聞では相場欄おいて、構成銘柄は「JPX」のマークを記載している。近い将来、パチンコ・パチスロ関連銘柄から、この「JPX日経インデックス400」構成銘柄となる企業も増えてくるだろう。

主要パチンコ・パチスロ関連企業上場の歴史
上場年月社名コード市場事業分野時価総額
1988.08平和64121部メーカー2,466
1991.10SANKYO64171部メーカー4,713
1993.11マースエンジニアリング64191部周辺機器496
1998.09ユニバーサルエンタ6425JQメーカー1,639
1999.12セガサミー64601部メーカー4,800
2000.10オーイズミ64281部メーカー214
2002.03サン電子6736JQ部品404
2002.03EIZO6737JQ部品583
2002.11ダイコク電機64301部周辺機器262
2002.12アクセル67301部部品209
2003.03フィールズ2767JQメーカー545
2004.09ゲンダイエージェンシー2411JQ広告108
2006.04ゲームカードジョイコHD6249JQ周辺機器243
2007.02藤商事6257JQメーカー363
2012.08ダイナムジャパンHD06889香港ホール1,787
※上場年月は店頭市場(現・JASDAC)含む、セガサミーはサミー、ゲームカードジョイコは日本ゲームカードの上場年月。時価総額は億円、2月24日現在


[本紙3月13日付2面]

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