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IPO2024年6月20日

IPO社長会見 インテグループ 明朗会計でPEファンドにも強いM&A仲介会社

インテグループ(192A)が6月18日、グロースに上場した。同社は完全成功報酬制のM&A仲介会社として質量ともに圧倒的なリーディングカンパニーになり、将来的に様々な経営課題を解決することで最も信頼される経営支援会社になることをビジョンとする。初値は公開価格を50%上回る5,940円。上場当日の記者会見で藤井一郎代表取締役=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

上場会社で唯一の完全成功報酬制M&A仲介会社……M&A仲介専門の上場会社は8社。中で当社は唯一、売り手・買い手ともに着手金ゼロ、中間金ゼロの完全成功報酬制をとる。これによりM&Aが成立しない場合、お客さまは報酬を払う必要がないため依頼のハードルが低くなる。これが一番わかりやすいメリット。また、買い手企業は着手金を払っても買収できるとは限らず、基本合意で中間金を払ってもデューデリジェンスや最終条件交渉で破談の可能性もある。このため上場企業を含め一定の買い手企業は、着手金や中間金を払う必要のある仲介業者の案件を検討しない。われわれは着手金、中間金を敬遠する買い手企業にも検討してもらえるので、売り手企業にとっては最も良いマッチングが実現する可能性がある。それを営業でも訴求して案件獲得につなげている。

最低成功報酬額を抑え依頼のハードルを下げる……中小企業M&A市場のボリュームゾーンで97%を占める売上高10億円以下の企業を売却対象のメーンターゲットとしている。例えば譲渡金額2億円の場合、大手仲介業者では最低成功報酬を2,000万円あるいは2,500万円に設定している。一方、当社は1,500万円に設定しており、特に小規模案件の依頼が増えている。

成功報酬額は納得性の高い計算方式で算出……M&Aの成功報酬は各社で計算の仕方が異なる。当社は売買金額ベース。例えば売却対象企業の評価が5億円(株式100%を5億円で譲渡)の場合、5億円に対してレーマン方式で一定の割合(5億円以下は5%)を掛けて2,500万円となる。一方、移動資産ベースで計算している同業もある。株式価値が5億円でも、それに対象会社の負債額を乗せて計算するため、売買金額ベースよりも成功報酬が高くなる。当社は売買金額ベースの納得性の高い計算方法を訴求して案件獲得につなげている。

コンサルタントは毎期25%ペースで増員……コンサルタントへのインセンティブ率が高い会社として知られており、多くの方から応募をいただいている。この1年で300名近くの応募があり、12名程度を厳選採用した。過去、経験者を採用したが、現在は研修方法が確立できているため、基本的には未経験者を中途採用し、2カ月間の研修により早期戦力化を図っている。未経験でも平均で11カ月目で成約できている。コンサルタントは24年5月末で34人。毎期25%ペースで増やしていきたい。

M&A規制への見解①……報酬体系の透明化が言われているが、当社は設立時からホームページに報酬体系を明示し、明朗会計。設立以来、後で「こんなに報酬をとられるとは思わなかった」と言われたことは一度もない。これは売買金額に対してパーセンテージを掛ける、極めて分かりやすく誤解が生じようがない報酬体系であることが大きい。一方、他社は売買金額でなく、そこに負債を乗せた移動資産に対してパーセンテージを掛ける。負債はいつ時点のものかなどややこしいところがあり、後でこんなに報酬をとられるとは思わなかったという批判があったと聞いている。中小企業のM&Aをもっと活性化させたい、そのためには手数料の透明化が必要という政府の考えが規制の背景。われわれにとって規制はネガティブではなく、むしろ追い風になる可能性がある。

M&A規制への見解②……仲介会社が買い手を有利にしているのではないかという批判がある。買い手は2回、3回とリピーターになり得るため。当社では1つの売却案件に対してかなりの数の買い手企業を当たり(ケースバイケースだが5~10社ぐらい)、売り手企業がなるべく選択肢を持てるようにし、条件を見て売り手さんに決めてもらっている。また、仲介会社が高く報酬を払う買い手企業に優先的に話を持っていくことへの批判もある。われわれは一部の買い手から高い報酬をとることを禁止し、買い手有利に進めることができない仕組みにしている。規制、ルールは業界の健全化という意味であってしかるべき。

PEファンドにも強いM&A仲介会社……PE(プライベートエクイティ)ファンド専門情報サイト「PEファンド.JP」を運営している。日本企業に投資しているPEファンドやその投資先企業を簡単に検索できるサイト。運営により様々なPEファンドとの接点ができ、コミュニケーションが日々発生している。われわれは「ファンドに強いM&A仲介会社」と業界で知られている。PEファンド関連の案件は過去3年程度、成約件数の10数%、売り上げベースでは3~4割を占める。PEファンドに買収していただく案件や、PEファンドが保有する企業の売却、あるいはPEファンドが投資している先の追加買収(ロールアップ)を比較的多く手掛けている。

<記者の目>

現場でバッティングすることが多いのは、M&Aセンター、M&A総研、M&Aキャピタル、ストライク。これらとかち合った時の“勝率”は肌感覚で5~6割とのこと。最低成功報酬が大手より低く、売り手・買い手ともに売買金額ベースで手数料を算出していることも高い勝率につながっているようだ。(Q)

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