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IPO2024年12月5日

IPO社長会見 TMH 半導体中古装置販売が業績牽引

TMH(280A)が12月4日、グロースと福証Qボードに新規上場した。半導体製造装置部品の販売・修理を手掛ける。初値は公開価格を41.8%上回る2,128円。上場当日の記者会見で、榎並大輔代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

越境ECに31.5万超の商品

半導体工場の稼働を様々な形で支援するリーディングカンパニー。国内の半導体工場はかなり老朽化しており、部品が生産中止になるなど、調達、製造、物流などで様々な課題があり、そこへソリューションを提供している。大きく分けて2つの事業を展開している。1つは越境EC(電子商取引)プラットフォームなどを利用した部品販売・修理サービス。「LAYLA-EC」というプラットフォームで部品の売買ができるようになっている。「LAYLA」にはグローバルで300社超のサプライヤーが登録し、商品数は31.5万超。これまで、生産中止になった部品やスポットで必要な部品の調達は非常に属人的だったのが、当社がプラットフォームを作った。グローバルでも販売製造装置専用の部品のサプライヤーが多く登録している越境ECはない。

装置販売はエンジニアリング力で

2つ目はエンジニアリング力を活用した装置販売サービス。ただ単に右から左へ装置を売買するのでなく、社内のFEチームと優良なサプライヤーとの協業により、装置の解体、移設、搬出、立ち上げといった様々な付加価値の高いサービスを一気通貫して提供できるのが特徴。半導体工場が不要になった装置を買い取るので、半導体工場とわれわれが互いに仕入れ先にも客にもなる関係。

国内半導体工場の大半が老朽化して商機

顧客はグローバルでも拡大しており、国内では多くの半導体工場と取引がある。半導体市場は2030年に1兆ドル(約150兆円)産業といわれる。国内の工場の大半が20年、30年経過しており、20年前に投資した装置が今も現役で稼働しており、保守、メンテナンス市場も拡大している。国内ユーザーの登録がどんどん加速している。

今期も好業績の見込み

(3.5倍増収、営業黒字転換見込みと絶好調だった)前11月期は、越境ECも成長したが、装置販売サービスが牽引した。顧客に少しずつ中古装置を使ってもらい、一度使うと「非常に良い」と継続してもらえる形で、かなり広がっている。今期もかなりの受注残が積み上がっており、さらに成長していく予定。

新規事業や海外展開で成長図る

成長戦略としてはまず既存事業の拡大のため、拠点を設置していく。現在5拠点あるが、広島のマイクロン、北海道のラピダス(の拠点近く)に設置を検討している。次に新規事業の展開。半導体業界は人手不足だが、今期、新事業として半導体人材のマッチングプラットフォームを始める予定。エンジニア力とプラットフォーム力を拡大することで、新規ビジネスを拡大していく。人材派遣でなく、人材紹介を行い、他の転職エージェントと違い、われわれは半導体業界に特化しているため、適切な人材を正しく紹介できるのが強み。第3フェイズは事業販路の拡大で、海外展開をしていく。インド市場を重点強化エリアとして設定。インドでは半導体工場が設立されており、われわれの中古装置のノウハウやネットワークを生かして、販売していく。装置が稼働すると部品修理の需要も出てくる。また、台湾の優良サプライヤーとの技術連携も強化する。中期的な目標として営業利益率15%を設定しており、3~5年以内に達成したい。(HS)

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