アクシスコンサルティング(9344)が3月28日、グロースに新規上場した。コンサルタントなど高レベルな専門性と能力を持つハイエンド人材の紹介サービスを手掛ける。初値は公開価格を55%上回る3,030円。上場当日の記者会見で山尾幸弘代表取締役社長が語った内容のポイントは次の通り。
コンサルティングファームやIT業界にハイエンド人材を紹介……設立は2002年。「人が活きる、人を活かす」を企業理念に掲げ、「人的資本の最大化、最適化、再配置」を目標として、正社員採用、フリーコンサル、スポットコンサルなど複合的なサービスを展開している。企業の抱える問題解決のサポートにあたるコンサルティングファームやⅠT業界に向けたハイエンド人材の紹介を強みとしている。
現役コンサルタントの4人に1人が登録……祖業の人材紹介事業ではコンサルティングファームへのコンサルタント採用サービスと、事業会社向けの正社員採用サービスを行っている。大手コンサルティングファームに在籍している現役コンサルタントの4人に1人が当社に登録済みだ。事業会社に向けては、連結子会社のケンブリッジ・リサーチ研究所が業務にあたる。1962年創業で長年の経験とサーチ能力があり、即戦力のコンサルタント経験者をどう起用していくべきか、企業の経営層から相談を依頼されるケースもある。
専門的な能力のあるフリーランスも支援……もう一つの事業であるスキルシェア事業では、2016年からフリーランスの分野に参入した。独立してフリーランスとなったフリーコンサルタントが、企業の抱える問題解決に向けて機動的なプロジェクトを提供する。また、企業の経営課題や事業課題などに関して手軽に相談できる「スポットコンサルサービス」を昨年7月から始めた。現役コンサルタントやコンサルタント経験者が隙間時間に副業で行うサービスだ。経営や事業の課題を解決したいが外部コンサルティングを利用したことがない、もしくは試しに使ってみたいという場合に、WEB上で1回あたり1時間から気軽に相談できる。非常に低価格で、利用しやすくなっている。
コロナ禍でも高い成長率……当社は人材紹介事業とスキルシェア事業を複合化したサービスを展開している。手がける事業を中長期的にフォローアップできることが強みだ。ここ5年間の業績を見ると、コロナ禍があり人材紹介業界全体としては成長が鈍化、低下した年もあったが、当社はコロナ禍でも高い成長率を継続達成してきた。当社単体の売上高は18年6月期が11億3,700万円だったのが、4期連続増収で、22年6月期には30億800万円。この間のCAGR(年平均成長率)は27.5%を達成できた。
上場は成長推進の手段……今回の上場は成長事業戦略を推進するための手段と捉えている。祖業であるコンサルティングファーム向けの人材紹介事業だけではIPOを決断していない。振り返れば、20年に上場の方針を決議した。16年からフリーランスの事業に、昨年からデジタルプラットフォーム事業に参入し、事業基盤が整ったこともあり、働き方の多様化など政府の後押しもある。その中で今がそのタイミングである、当社の成長戦略を実現したいと、上場を決断した。
リカーリングビジネスを推進……25年6月期までの目標として、人材紹介事業とスキルシェア事業のさらなる拡充を図りたい。一つのサービスをほかのサービスにも転換し、継続的な収益が得られるリカーリングビジネスを推進し、営業も強化していきたい。上場で調達した資金は主に広告やシステム投資、人的投資に充当したいと考えている。(YY)