アズパートナーズ(160A・S)が4月4日、スタンダードに新規上場した。首都圏で介護付き有料老人ホームを展開する。初値は公開価格を52.2%上回る2,923円。上場当日の記者会見で植村健志代表取締役社長CEO=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
47事業所を運営……介護のシニア事業をメインに20年やってきて、2023年3月期の売り上げ比率は約85%、それと不動産事業が約15%。少子高齢化社会で増える高齢者の住まい、暮らしを支えたいと、事業をスタートした。シニア事業の方は介護付き有料老人ホームを27棟1,855室運営するメインの事業。介護付きホームの周辺で、朝に高齢者をお預かりして1日暮らしていただき、夕方自宅に帰ってもらう16のデイサービスセンターを運営している。ショートステイの4カ所を入れ、現在47事業所を運営している。
業務効率化でゆとり、利用者に寄り添い……最近は介護DX(デジタルトランスフォーメーション)などと言われるが、当社は07年に業界に先駆けてパラマウントベッドHD(7817・P)、アイホン(6718・P)などと「EGAO link」というシステムを開発した。眠りのセンサー、介護記録のソフト、ナースコールをスマートフォン1台にまとめ、全ホームに導入。オペレーションを大きく変えた。夜間の定期巡視をゼロにして、介護記録の時間は10分の1ぐらいと業務を大幅に効率化している。それによりスタッフがゆとりをもって働け、しっかりとお客さまに寄り添えるケアを実現。また、蓄積されたデータを分析して次のケアに生かしている。厚生労働省のモデル事業にも選ばれている。また、業界他社に対して、機器の導入で終わらせずオペレーションを変えるコンサルティングも始めている。今回の介護報酬の改定でもIT加算、介護付きホーム、デイサービスもプラス改定となった。
会社の魅力で人材定着……この事業は人が大切と思っており、今年は190人の大卒新卒が入社できている。新卒の採用力は当社の強み。人材の採用、定着にはウルトラCはないと思っており、どれだけ会社が魅力的になるか。介護はきつい、汚いと言われて久しいが、楽しい仕事と思ってもらうことが大事だ。現場を経験したケアスタッフがリクルーターになり、学生に寄り添って当社や介護の素晴らしさを伝えている。また、実際に介護現場を見てもらうと、スマートフォンなど(デジタル化された)現場の雰囲気が他社と違うことが評価されている。入社後はチャレンジすることが評価され、若くして所属長になれるし、結婚などで夜勤ができなくなればデイサービス勤務、マネージメントが苦手ならば専門職など、様々な仕事にジョブローテしている。
施設数増加で安定成長……売り上げは右肩上がりで、シニア事業のセグメント利益が成長できているのは評価されている。引き続きシニアが7~8割の売り上げになると思うが、不動産とともに成長していきたい。1つの介護付きホームは50~60室のものが多いが、今年から来年は90室ぐらいの大きめのものを造る。年間3、4棟造っていきたい。デイサービスも50人定員規模を3、4棟、合わせて6~8棟建設したい。スタンダード市場を選んだのは、倍々で伸びる事業ではないが安定成長ができると考えたから。売上高は10~20%、利益は10%成長を上げていきたい。施設数も増やし、現在は首都圏の展開だが、機会があれば大阪、名古屋、福岡のような都市圏であれば進出したい。それに介護DXコンサルについても拡大していきたい。(HS)