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IPO2024年8月23日

IPO社長会見 オプロ セールスフォースと強い連携

オプロ(228A)が8月21日、グロースに新規上場した。帳票DX(デジタルトランスフォーメーション)やセールスマネジメントソリューションをクラウドで提供している。初値は公開価格を28.6%上回る1,673円。上場当日の記者会見で、里見一典代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

ITをシンプルにする思い……社名は「オプティマイズド・プロバイダ」、最適なる提供者というものの頭文字を取ってオプロと名付けた。われわれのミッションにもあるが「make IT simple」、ITをシンプルにする。ネットワークの時代になって、複雑になっている。それをいかに最適にしていくか、社名に付けて、実現するソリューションを提供してきた。2つのソリューションがあり、データオプティマイズソリューションはデータを最適にインプット、アウトプットするソリューション。セールスマネジメントソリューションはサブスクリプションビジネスに強い販売管理。

インプット、アウトプット両方が強み……データオプティマイズソリューションは製品が4つあり、アウトプットは「帳票DX」と「oproarts」。メインの商材は「帳票DX」で2022年にリリースして、エンタープライズ(大企業)のお客さまを意識した。インプットは「カミレス」「帳票DX ME」。「カミレス」は紙の申請書を電子化、AIの機能をつかい、基本的に自動でフォームを作成する。申請から審査、承認までのワークフローを一気通貫で対応できる。「帳票DX ME」は、帳票を紙の(形の)まま、スマホやタブレット画面上に電子化する。エンタープライズ向けのソリューションで、インプットとアウトプットの両方を持つ会社は、われわれしかいないとみており、一番の強み。

営業からバックオフィスまで一気通貫で……セールスマネジメントソリューション(の製品)はソアスクとモノスクがある。ソアスクは無形の商材、モノスクはモノのサブスクの販売管理。セールスフォースで開発しており、営業、マーケティングからバックオフィスまで一気通貫でデータ管理できる。セールスフォースとの連携の強さが1つの差別化。そこがしっかりできている。SMB(中小企業向け)は「管理はエクセルでいい」「請求だけできればいい」ということがあり、まだ厳しい。しっかりエンタープライズのお客さまに差し込んでいきたい。

大型案件獲得で飛躍……ここ数年の売上高成長率は年平均25%。営業利益も事務所移転費用がかかった23年度は若干落ちたが、移転費用を除けば順調に推移している。大事な指標である期末ARR(年間経常収益)は平均35%だが、22年から23年にかけては44%と伸びた。これは、セールスフォースのパートナーの大手コンサル、アクセンチュア、デロイトなどとつながりができて、大型案件がとれたから。解約率は0.5%前後と低く推移している。ARRの約7割がデータオプティマイズソリューション、約3割がセールスマネジメントソリューション。

SAPにも注力……成長戦略としては、ここ数年エンタープライズのお客さまに採用され、売り上げがかなり伸びている。ここにしっかりコミットメントしていきたい。そのためにはパートナーの大手コンサルとしっかり(関係を)結ぶ。エンタープライズ向けの営業、開発エンジニアの採用も、しっかりやっていく。もう一つ、収益基盤を多様化する。SAPなどのエンタープライズSaaSに注力しており、今年度、「帳票DX for SAP」をリリースした。SAP以外ではユニコーン企業の「SmartHR」とタイアップした専用の人事向け帳票サービスや、最近日本に進出した「monday.com」とタイアップして、帳票サービス「docutus」を始めた。

ゆくゆくはプライムに……初値が1,673円ということは非常に高く評価してもらったと思う。8月2日の暴落、5日の大暴落があり、われわれのブックビルディングは8月5日からだった。正直、今日という日を迎えられたのは本当にありがたい。荒れた市場で高い評価をいただいたのは身に余る光栄。引き続き株主に情報開示をして、コミュニケーションを取りながら、さらに信頼してもらえる会社にしていきたいと思う。今は投資モードなので配当金はまだ少し厳しい。ただ、株主にしっかりリターンを出していきたいと思っているので、まずは業績をしっかり出して株主に返していくことを当面の目標にしたい。ここで終わるのではなく、ゆくゆくはプライム市場になれるように、その辺りでいろいろと考えていきたい。(HS)

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