オービーシステム(5576)が6月21日、スタンダードに新規上場した。金融、産業流通、社会公共、ITイノベーションの分野でシステム開発を広く手掛けるシステムインテグレーター。初値は公開価格を76%上回る3,010円を付けた。上場当日の記者会見で豊田利雄代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
売上高の8割が日立製作所と三菱電機ソフトウエア……当社は1972年の設立以降、技術革新が急速に進む情報サービス産業でシステムインテグレーションのサービスを提供している。中でも日立製作所グループと40年以上、三菱電機グループと30年以上、ビジネスパートナーとしての関係を築いており、長年培った業務知見を生かしたシステム開発の実績を積み上げてきた。売上高の70%は日立製作所グループで、10%が三菱電機ソフトウエアだ。日立製作所で言えば、銀行ビジネス、中で地銀ビジネス。特殊な技術力のいるミドルウエアの開発や為替業務など、当社は地銀ビジネスへのノウハウがたまっていることが強みとなっている。ただ日立製作所グループへの過度な依存はリスクとなるので、全体の7割前後の取引で推移している。
事業の主力分野は金融……事業領域別の売上高は2022年3月期だと金融が46%、流通産業が30%、社会公共が24%の割合だ。昨年からITイノベーション事業にも取り組んでいる。既存技術に加え、DX(デジタルトランスフォーメーション)やクラウドコンピューティングなど新たな技術分野にも事業を展開している。システム開発の中でDXは非常に受注が増えている。ITイノベーションを核としてクラウドの事業を進めていきたい。
コロナ禍から回復し業績は好調推移……業績に関してはコロナ禍の落ち込みから回復し、23年3月期の売上高は前年比2.9%増の61億6,300万円、経常利益は同7.2%増の5億1,700万円だった。今24年3月期は売上高が23年3月期比5.5%増の65億300万円、経常利益が同11.9%増の5億7,900万円を予想。売上高、営業利益、経常利益とも過去最高を更新する計画だ。今期は回復が鮮明な金融事業が引っ張り全般的に好調で、特にクラウド、AI、ロボティクスなどDX関連事業の引き合いがどんどん増えている。
上場で得た資金は人材育成に、株主還元は配当で……システム開発は開発にかかわる人材の力にかかると言っても過言ではない。現在の開発にかかわる人材は440人だが、早急に500人態勢に持っていきたい。上場で得た資金は主に人材採用と教育に充て、新卒の教育メニューを充実させたい。株主への還元は配当で対応したい。23年3月期の年間配当は50円。配当性向は30%弱だが、安定的な利益成長に応じて30%から引き上げていくことを考えたい。株主へは増配という形で応えていきたい。(YY)