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IPO2024年12月20日

IPO社長会見 キオクシアHD 世界最大のフラッシュメモリ専業メーカー

フラッシュメモリの世界的な大手、キオクシアHD(285A)が12月18日、東証プライムに新規上場した。公開価格1,455円を1.0%下回る1,440円で初値を形成したが、終値は1,601円と堅調なスタートを切った。早坂伸夫代表取締役社長=写真=は当日の会見で、概況や今後の戦略について語った。

業界のリーディングカンパニー……キオクシアは世界最大のフラッシュメモリ専業メーカーだ。社名の由来は日本語の「記憶(KIOKU)」と、ギリシャ語の「価値(AXIA)」の組み合わせで、記憶で世界を面白くする、メモリの技術で世界に新たな価値をもたらすことを目指している。フラッシュメモリとは大容量のデータを記録する半導体デバイスで、電源を切ってもデータを保持できるという不揮発性の特性を持つ半導体メモリだ。1987年に東芝が世界初のNAND型フラッシュメモリを発明した。以来技術開発を続け、業界のリーディングカンパニーとして40年近い歴史を築いてきた。

AI関連需要が拡大……用途はSDメモリーカード、スマートフォン、パソコンなどに記憶用デバイスとして搭載されている。最近話題の生成AIサーバー、インターネットやクラウドサービスとの基盤となるデータセンターにも必要不可欠な部品となっている。様々な電子機器に使用されているほか、今後は急速に普及拡大する生成AI向けの利用で需要が大きく拡大することが見込まれている。2028年までの5年間で記憶容量ベースでは2.7倍に増加するという予想がある。特に大規模言語モデル(LLM)での学習、推論に用いられるAIサーバーにおいて、大容量のデータ保存や消費電力の課題解決の観点からも大容量のフラッシュメモリやSSD(フラッシュメモリで構成される大容量記憶装置)の重要性が高まってきている。また、今後はスマートフォンやパソコンにもAI機能が搭載されることが予想され、メモリの搭載容量が大幅に増加すると予想されている。厳しい時間帯もあったが、足元の事業環境は良好だ。AI向けを中心としてデータセンターやエンタープライズ向けSSDの強い需要があり、24年度第1四半期(7~9月期)の業績は過去最高の売上高、利益を確保することができた。

AIにどう対応するか……エンタープライズSSD、データセンターSSDではPCIe5.0といいう最新のデータ転送規格でお客さまから高い評価をいただいている。今後も最先端の技術を搭載した製品をラインアップしていく。今後も大容量化、高速化へのニーズは高まる方向で、当社はウエハを張り合わせるCBA技術により、第8世代の製品では業界最高の高密度化を実現している。これからもフラッシュメモリが中心だが、新たな技術を用いたMRAM、OCTRAMなど多様な研究開発を進める。完成すればNANDフラッシュ以外のビジネスも現実的になる。

規律ある設備投資……協業のウエスタンデジタルと合わせた生産規模は世界の3分の1を占め、この規模から得られるスケールメリットが強みだ。四日市工場では生産工程で得られる大量のデータをAIで解析して、現場にフィードバック、高い生産効率を実現している。需要に合わせ、生産の拡大を計画、25年秋には北上工場第2製造棟を稼働させ、第8世代の製品を生産する。当面は四日市、北上工場で生産能力は足りるが、今後については様々な可能性を検討している段階だ。市場に合わせて規律ある設備投資を実施していくというのがわれわれのスタンスだ。(M)

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