クラダシ(5884・G)が6月30日、グロースに新規上場した。同社はサプライヤーのフードロスと消費者のニーズをマッチングさせるプラットフォームを展開。初値は公開価格を53%上回る800円だった。上場当日の記者会見で関藤竜也代表取締役=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
クラダシのミッション……2022年6月にB Corp認証(環境や社会へのパフォーマンス、透明性、説明責任、持続可能性において優れた企業に与えられる認証制度)を取得した。B Corp取得企業としての上場は日本初となる。社会課題をボランティアではなく、あえてビジネス展開させることで課題をサステナブルに改善し、同時に経済を循環させながら改善をしていくことを目指している。
ユニークなポジショニング……クラダシは従来の流通とは異なる1.5次流通市場という全く新しい流通市場を開拓・拡大しているのが最大の特徴。一次流通ルートで販売することが困難な商品を買い取り、消費者ニーズに迅速にマッチングすることでフードロスを大幅に削減している。単なる安売りだとブランドイメージが棄損されたり、市場価格が下落してしまう、また、それらを恐れて廃棄している可能性がある商品に新しい価値を見出してる1.5次流通市場という形での販売をしていく。現状競合はおらず、独自のユニークなポジションを築けている。
提供価値と強み……ナショナルブランドをはじめとした1,300社以上のメーカーと取引をしている。当然、経済価値というところも取り引きの理由ではあるが、それ以上にクラダシのコンセプトをご理解いただき、社会貢献へ賛同していただいているというところが継続的な取り組みにつながっている。さらに、官公庁、自治体、銀行取引先からの紹介を通じ、有力なパートナー企業との業務提携を強化している。
自律的な成長サイクル……クラダシはフードロス削減に向けた社会情勢が高まれば高まるほどサプライヤー数は増加し、それに伴い、会員によって商品の魅力度が増加し、利用頻度アップにつながっていく。それらが循環することでサステナブルな社会貢献活動につながり、自律的な成長サイクルを生み出すモデルとなっている。
社会課題と成長機会……日本では業界の商慣習と言われる「3分の1ルール」や「季節品・終売品」などにより、年間522万トンのフードロスが発生している。これらフードロスを市場規模換算すると8,500億円あると推定される。クラダシ昨年度の売り上げはその1%にも満たないという状況からしても、まだまだスケールを拡大させていくことができる。また、オンラインのマーケットプレイス型とオフラインのハブ事業を融合することにより、フードロス市場の網羅率を高めていきたいと思っている。それに付随して、商品開発、フルフィルメントなど、魅力的な事業を展開することによって、その市場を拡大していく。(SS)