ソラコム(147A)が3月26日、東証グロースに新規上場した。ユーザーがIoTを導入・運用する際に直面する課題を解決するIoTプラットフォーム「SORACOM」を提供している。初値は公開価格870円を79.6%上回る好調なスタート、2日目の27日もカイ気配で始まり、後場はストップ高となった。玉川憲社長(写真)は26日の上場会見で「日本発のグローバルIoTプラットフォーム」を目指すとし、世界市場を見据えた今後の成長戦略、同社の強みなどについて以下のように話した。
高い継続率
当社のIoT事業はデータ通信を軸に、IoTの製品開発を加速させるグローバルプラットフォームだ。IoTデバイスやIoTSIM、通信回線、クラウドサービスが3つの柱となっている。ユーザーは多種多様な業界にわたり、規模も中小から大企業まで幅広く、2,000社を超えている。2024年3月期予想の売上高は80億円、営業利益は5期連続で黒字を見込む。契約回線は600万、リカーリング収益の年平均成長率は32.7%(21年3月期~24年3月期)。プラットフォームがつながるエリアは180カ国・地域で通信キャリア数は392、主要顧客の年間解約率は0.3%と、継続率が非常に高いことが特長だ。
右肩上がりの収益構造
IoTプラットフォームをSaaSで提供するビジネスモデルではIoTデバイスなどの商品販売や顧客へのコンサルティング・業務受託によって発生するインクリメンタル収益が増えると、顧客の利用量に応じて収益を得る従量課金のリカーリング収益が増える仕組みだ。蓄積が進み、売上高は右肩上がりだ。
独自の技術で競争優位性を実現
当社のサービスはクラウド上にモバイル・コア(端末の制御、加入者情報管理、通信経路設定などを行うモバイル通信の基幹システム)を独自に構築することによって、IoTに特化した通信サービスをコスト競争力のある価格で提供できることだ。様々な機能をソフトウェアによりクラウド上に構築、70以上の特許を保有している。ユーザーごとのカスタマイズも必要なく、レゴブロックのように必要な機能を組み合わせ、どんどんIoTプラットフォームを作ることができる。生成AI機能がIoTプラットフォーム統合されており、専門家でなくてもデータの異常値やトレンドが把握できる。
成長戦略とドライバー
成長戦略は安定したリカーリング収益に加え、グローバル市場と大型案件の獲得、戦略的アライアンスの推進だ。アライアンスではスズキ(7269・P)とEV(電気自動車)を含めたモビリティーサービス分野でのIoT技術の活用、KDDI(9433・P)とも自動車向けプラットフォーム構築に取り組んでいる。(M)