タイミー(215A・G)が7月26日、東証グロースに新規上場した。初値は公開価格を27.5%上回る1,850円。同社は「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービス『タイミー』を運営。上場当日の記者会見で小川嶺代表取締役=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
自身の経験からサービスを開発……20歳の時にアパレル系の会社を立ち上げるも、残念ながらうまくいかず、1年で畳むという意思決定をした。そこからはお金がなかったため多くのアルバイトや日雇いを経験。その際に生活費を稼ぐためにすぐにお金が欲しいという即金ニーズ、また、面接や履歴書無しですぐ働きたいという働き方のニーズを自分自身が感じた。なぜすぐ働くことができない世の中なのかと強く疑問を持ち、その疑問を解決するために立ち上げたのがタイミーだった。
今までにない新しいマッチングプラットフォーム……ビジョンは「一人ひとりの時間を豊かに」。昨今はウェルビーイングという言葉が使われるが、一度きりの人生、限られた時間の中で人生の中の3分1程度を占める“働く”という時間を豊かにすることが非常に重要なテーマになっている。タイミーは非常にシンプルなサービスで、派遣でも求人サイトでもない、全く新しいマッチングプラットフォーム。アプリをダウンロードして働きたいところをクリックするだけで、面接や履歴書も無しにすぐに働くことができる。働き終わった後はすぐにお金をもらうことができ、まさに自分が欲しかったサービスを実現できている。ローンチから6年という月日が経ち、今では労働人口の10%以上の方に使ってもらえるサービスまでに成長した。利用者は多岐にわたり、中でも学生は約3割と多いが、コロナ禍以降は副業の解禁、リモートワークで家の近くで働けるような時間が生まれたりといったこともあって、会社員の方の利用も大きく増えた。また、最近ではシニアの方々も増えてきている。
タイミーはマッチングの仕組みが強いと思われがちだが、実はそうではなく、マッチング以外の労務管理、給与計算など各種機能を搭載している部分が強い。これまで競合が来なかったのには、この部分に多くのヒントがある。また、例えば東京で働きたいという方が10万人いたとしても、働ける場所が100件しかなかったら多くの人が働けなくなってしまう。働き手の数と企業をエリアごとに増やしていかなければならず、このバランスを保ちながら成長させていくということは非常に難しい。他社のサービスでは「ダウンロード数No.1」をうたっているところもあると思うが、ダウンロード数には何も意味がない。当社はダウンロード数だけじゃないからこそ稼働率88%という業界最高水準を実現することができている。
さらに62%の方がリピーターワーカーという、毎回同じ場所で働くワーカーになっている。これは同じ企業に1回以上タイミーで働いたことがあるという方が76%存在しており、その人材のプールに対して求人を指定して出すことができるのでリピート率が高まっていく。このプールは他社にはまだ作ることができていない先行者メリットであり、今後の戦略上で非常に重要なポイントだ。
成長戦略……上場を経て今後実現していきたいテーマは、「“働く”の固定概念を変え、データを活用して変革していく」。自身も経験があるが、一生懸命働いて時給を上げても、例えば引っ越しなどで勤め先を変えてしまうとまた振り出しに戻ってしまう。タイミーでは働くごとに履歴がデータで残り、働けば働くほど給料や待遇が上がっていく。また、最近リリースしたバッジ機能は、タイミーで働くほど経験値が可視化され、業種ごとのバッジをもらうことができる。そのバッジを持っている人を呼びたい企業は時給を少し上げてオファーを出すというような形になっているので、タイミーで働くほどバッジが手に入って良い給料をもらえるようなオファーが来る。(SS)