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IPO2024年3月29日

IPO社長会見 ダイブ リゾートバイト特化の人材事業

ダイブ(151A)が3月27日、グロースに新規上場した。リゾートバイトに特化した人材事業を手掛ける。初値は公開価格を77.2%上回る3,225円。上場当日の会見で、庄子潔代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

30年に37兆円市場へ……設立当初からリゾート施設に特化した人材サービスを行っている。事業は主力の観光HR事業のほか、グランピング施設をはじめとした地方創生事業に取り組んでいる。情報システム事業も行っている。コロナ禍も明け、インバウンドも国内旅行も戻っている。政府は2030年までの観光消費額37兆円の目標を掲げており、上り調子の市場になっている。

社会人の利用がメイン……観光HR事業は北は北海道から南は沖縄まで、日本全国のリゾートホテル、温泉旅館、スキー場などに年間7,800人の人材を紹介している。働く人は寮や食事が無料などの経済的メリットがある。それだけでなく、非日常の中で働き、様々な人と出会うことで、人生の選択肢、価値観を広げると支持されている。年間サイト利用者は178万UU(ユニークユーザー)あり、主に25~44歳が56%。年々シニアも多く利用されている。学生は意外と少ない。

20年のノウハウが参入障壁……リゾートバイトは住み込みなので一般の派遣会社と大きく異なる。データベースも寮のタイプ、周囲にコンビニがあるかなどアナログな情報まで網羅しており、精度の高いマッチングにつながる。このようなデータはチャットGPTでは出てこなく、20年間培ったことが強みとなる。もう一つ、一般の派遣と異なり、例えば同じ人が冬は北海道のスキー場、春から沖縄のビーチ、秋は紅葉のきれいな温泉旅館など、場所も職種も変わる。それに伴う業界特有の手続き、オペレーションの煩雑さも、20年培ったオペレーションをITを駆使して効率化しており、高い参入障壁となっている。

外国人の採用にも取り組む……日本の労働人口は右肩下がりだが、私たちのサービスの登録者は増えている。一定期間自分の好きな環境で働き、価値観、世界が広がり次の人生の転機になる、そうした働き方が支持されている。転職までの間や留学資金をためるため、リモートワークの休みの時間などいろいろなバックグラウンドの人が働いている。シニアは資産もある程度あるので、趣味や生きがいを重視し、例えばスキー場で働いて、休日には若いころ好きだったスキー三昧という人もいる。ただ、人口が減っているので、次は外国人と思っている。19年に特定技能ビザが始まり、コロナでなかなか進まなかったが、積極的に採用しようと思っている。

一気通貫で差別化……地方創生事業は地方自治体とタッグを組み、あえて非観光地を選んでいる。資産が有効活用されていないところに付加価値を付け、企画、開発、集客、運営まで一気通貫にしている。自社でグランピクスというメディアを持っており、集客の手数料がかからない。また、観光HR事業のリゾートバイトも活用でき、他社と差別化できる。

単価と派遣期間延長で売上増……成長戦略としては主力の観光HR事業をしっかりしていく。まだリゾートバイトは知られていないので、上場資金でプロモーションをする。売り上げを伸ばすには単価を上げることと派遣期間を伸ばすこと。宿泊施設、働いているスタッフの双方がレビューし合うシステムがあり、この人は即戦力なので単価を上げてほしいなどの交渉をしている。また、スタッフ一人ひとりとコミュニケーションをとれるシステムを自社開発して、仕事の延長を促すなど一人当たりの派遣期間を延ばしている。また、宿泊業は中小企業が多く、人手不足、集客、オペレーションの仕組化できていないなどの課題がある。人材の課題についてはサービス提供しているので、それ以外の課題にクロスセルの商材を提供していきたい。(HS)

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