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IPO2025年4月1日

IPO社長会見 トヨコー 最新技術で老朽インフラをよみがえらせ

トヨコー(341A・G)が3月28日、グロースに新規上場した。最新技術で老朽化した工場やインフラのメンテナンスを実施する。初値は公開価格を19.3%上回る871円。上場当日の記者会見で、豊澤一晃代表取締役CEO=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

CoolLaserで黒字化推進……インフラメンテナンスの「SOSEI(ソセイ)」と「CoolLaser(クーレーザー)」の2事業を展開している。2006年にSOSEI事業をスタート。その傍ら、高出力レーザーを土木分野に展開する新しい取り組みをしてきて23年に、CoolLaser初の市販モデル「G19」が完成した。昨年9月に納品を開始して、今年度(25年3月期)から売り上げを開始した。CoolLaser装置のプロトタイプのPoC(概念実証)とSOSEIの売り上げを基に(25年3月期は)黒字を見込んでいる。大きな設備投資はG19開発のためで、これからは応用開発になるので(多額の設備投資費は必要とせず)、販売、製造体制を膨らませて、黒字への展開を図っていく。

スレート屋根を強靭に……SOSEIは製造業の工場の老朽化したスレート屋根を3層の特殊樹脂を使って、非常に強靭(きょうじん)な屋根によみがえらせる構想。工場の建屋が自然災害によるダメージで、中にある製造物が被害を受けることから、屋根の修繕ニーズが高まっている。また、1層目の樹脂は断熱材を使っており、省エネ効果も得られる。さらに、もろくて重たいものを載せられなかったスレート屋根が強靭となり、太陽光パネルを載せることができる。現在、パネルの置き場の奪い合いになっており、スレート屋根はブルーオーシャン。大手の工場からも引き合いがきており、今後増えていくと予想している。これまで太平洋ベルト地帯の西の方を主に志向してきたが、関東にもまだまだ市場はある。SOSEIと太陽光パネルを合わせた事業に足元注力し、その後はさらに大きな金属屋根に展開を図ろうと、現在、自働機を作っている。

世界でも圧倒的な性能……CoolLaserはレーザーを使ってサビ、塗膜を除去する。レーザーを回転しながら当てるというシンプルながら参入障壁の高い特許技術を保有している。一般的なレーザークリーニング装置の最大値は1キロワットだが、CoolLaserは高出力化の開発を重ね、世界でも圧倒的なパワーの5.4キロワットを実現した。橋や鉄塔などで腐食が進むのは入り組んだ場所。既存工法では塩分を取り切れず、すぐまたサビてしまう。これをレーザーで蒸発除去するので、塗装の耐久性を伸ばすことができる。橋の設計寿命は50年と言われ、15年後には8割が設計寿命を迎える。壊れてから直すのでなく、予防保全をするようになっており、CoolLaserのニーズは高まる。G19はさっそく大手建機レンタル会社や大手電力会社のグループ会社が採用した。CoolLaserのメリットは3つ。光を使って処理するので二次産廃物が出ない。また、塩分をきっちり取ることができる。3つ目は、塗膜の中にPCB、鉛、アスベストなどの有害物質が入っている。これらを飛散せずに回収することが求められるが、レーザーを打ちながら集塵することで処理でき、作業者も安全。危険物質の除去は安全対策費や産廃処理費がかかるが、CoolLaserではほとんどなく、コスト削減につながる。

30年には売上高の85%に……今後、通信鉄塔、水力発電、送電線、鉄道、道路など業界軸の展開を広めるとともに、地域軸も増やしていくため、販売パートナー、建機レンタル、建設会社など販売網を広げる。また、AIの画像解析、ロボティクス、ドローン点検といった分野と容易に組み合わせられるので、さらなる奥行きを出せる。IPOで調達した資金は生産拠点の整備や応用開発に使っていく。海外展開については法規制を整える必要があり、2、3年後に向けて動いている。昨年度は4カ国で、防衛装備庁の展示会に参加した。現在、CoolLaserの売上高比率は2割だが、30年には85%にしたい。(HS)

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