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IPO2023年10月5日

IPO社長会見 ニッポンインシュア 単身世帯増加で保証ニーズ拡大

ニッポンインシュア(5843)が10月3日、スタンダードに新規上場した。福岡市に本社を置き、家賃債務保証を手掛ける。初値は公開価格を24%上回る1,005円。上場当日の記者会見で、坂本真也代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

全国6拠点に展開……主な事業である家賃債務保証をスタートしたのが2008年。福岡から始め、神奈川、東京、新潟、大阪、仙台と現在では6つの拠点で展開している。家賃債務保証とは賃貸で部屋を借りるときに連帯保証人が必要となるが、人に代わり機関保証という形で連帯保証人に近い役割を果たす。保証料を借主から頂いて保証委託契約を締結。私どもは不動産管理会社と保証契約を結び、サービスがスタート。万が一滞納が発生した場合は当社が立て替え、後日借主に請求する流れ。

入居審査も実施……借主、管理会社双方にメリットがあり、借主側は連帯保証人を探す手間が省け、入居手続きがスムーズにいく。入居中にケガ、入院や支払い困難になった場合でも当社が立て替えるので部屋の確保ができる。管理会社からすると入居審査を当社が行い、専門的な入居審査することなく滞納リスクを抑えることができ、貸しやすくなることで空室が決まって家賃収入が安定するメリットがある。保証料は、契約スタート時に支払われる初回保証料。ケース的には少ないが毎月支払う月額保証料、契約が1年更新なので更新保証料がある。契約が続く限り更新保証料がストックという形で安定的に増加するビジネスモデル。

管理会社のニーズを把握……私どもの強みは、当社は不動産管理会社から産まれた保証会社なので、管理会社を理解したビジネスモデルが強み。多様なプランを多数取りそろえている。孤独死に対する補償が付くなど保証範囲が広く、緊急時の駆け付け、近隣トラブル対応、今後を見据えた見守りサービスなどがある。これにより管理会社は借主のニーズに合わせてプランを提案できる。当社の営業スタッフが管理会社に詳細にヒヤリングしてカスタマイズされた商品を提案している。

高回収率をシステム活用で維持……また、当社は回収率98%以上をずっと維持している。AIオペレーター、オ―トコール、SMSといったシステムを活用することで、回収スピードや効率の向上、優先債権への特化などを行い、高回収率が維持できる。家賃保証があるとはいえ、回収率が安定しているほうが管理会社の安心感につながり、継続利用の要因の一つとなる。今後もシステムに積極的に投資をして、業務効率向上だけでなくサービス向上にもつなげていきたい。

独自クラウドで効率化……3つ目として、独自開発のクラウドシステム「クラウドインシュア」があり、当社だけでなく、管理会社の業務効率向上にもつながる。不動産業界は紙がまだまだ多く存在するが、これを利用していただくことで、顧客情報管理やペーパーレスにつながり、業務効率向上、コスト削減となる。このシステムは他社と比較しても使いやすいとの声を頂いている。今後も管理会社のニーズに応えながら改修していき、不動産DXの流れに適合したシステムに作り上げていく。

出店余地は十分……今後、主要都市を中心に出店したいと考えている。上場で社会的信用を増したので、さらにエリア展開を行っていきたい。業界でも後発、小規模ながらこれまでしっかりシェア獲得ができた。これからも伸ばせる余地はあると捉えている。既存支店のあるエリアもまだまだ伸ばせる。既存支店のシェア拡大を行いながら、エリア拡大を行っていく。各地の管理会社とのコネクションも強み。

介護、入院にも展開……また、家賃債務保証の経験を生かして、介護費債務保証と入院費債務保証を新しくスタートした。現在は家賃債務保証が保証事業の92.5%を占めるが、これらの保証事業も積極的に事業展開していく。スタート時はちょうどコロナ禍で介護施設や病院になかなか営業をかけられなかったが、今は本格的に営業活動をしている。医療機関などは一定数の未収金がある。回収業務専門の部隊を持っていないので、アウトソーシングしたいとの声が大きくなっている。人口減少や単身世帯の増加は人間関係の希薄化につながる。連帯保証人を頼みづらい、なりたくてもなれない人も増えていくと思う。そういったところを踏まえて、営業活動をしていく。(HS)

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