ノイルミューン・バイオテック(4893)が6月28日、東証グロースに新規上場した。固形がん向けにCAR-T技術を用い、免疫細胞療法の構築を目指す山口大学と国立がん研究センター発のバイオベンチャー。初値は公開価格740円を6%下回る695円だった。玉田耕治代表取締役社長=写真=が上場当日の会見で今後の見通しなどについて語った。
PRIME CAR-T細胞に独自性……(がん細胞を効率的に検出し、強力ながん殺傷効果を持つ細胞を人工的に作製して投与する治療法である)CAR-T細胞療法については、血液がんで承認が進んでいるが、がんのおよそ9割を占める固形がんではまだ承認されていない。当社が保有するPRIME技術は免疫力を高める物質を生産するよう遺伝子を操作し、CAR-T細胞と体内の免疫細胞の集積と活性を高める独自の技術だ。
ビジネスモデル……PRIME技術をベースに自社が主導して開発を進める自社創薬事業とPRIME技術を提供し他社が開発を進める共同パイプライン事業の2つの展開により安定した成長を目指す。今回の上場で調達した資金は30億円だが、このうち18億円程度を現在フェーズ1段階にある自社開発のNIB101の開発に充てる。残りは非臨床段階にある次のパイプラインに数億円を充てるほか、PRIME技術の改良も進める。CAR-T細胞の製造技術についても改良を進め、より安く、均一に、大量に製造する技術を確立する。
3~4年後には黒字化……自社創薬事業ではライセンスアウトで契約一時金が得られるほか、開発マイルストン収入、ロイヤリティ収入が得られ、共同パイプラインでは導出しているパイプラインからの収入が得られる。自社開発のパイプラインの進捗とマイルストン収入の積み上がりなどで、3~4年ほどで業績の黒字転換は可能とみている。現在、NIB101、NIB102、NIB103とフェーズ1段階のパイプラインが3つあり、ここで価値を出していくことが大事だ。上場前に調達した資金と合わせ、手元には60億円の資金があり、メインで進めているNIB101にある程度の結果がでるまで、手元資金で完遂できると考えている。NIB104、NIB105についてもどんどん発展させ、臨床を増やしていく。いろいろな会社と組んで、われわれの技術を増やしていきたい。(M)