バリュークリエーション(9238・G)が11月22日、東証グロースに新規上場した。同社はレガシー業界向けのマーケティングDX支援と、住宅解体のマッチングプラットフォームを運営する不動産DXが二本柱。初値は公開価格を72%上回る3,090円だった。上場当日の記者会見で新谷晃人代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
マーケティングDX事業……特徴は3つあり、1つ目がLTVマーケティングというものをやっている。一般的なマーケティング会社はリードを獲得して終わりだが、当社はリードを獲得した後の売り上げの最大化の支援(LTV、ライフタイムバリュー)の方までやっている。2つ目は事業会社としての顔を持ち合わせていること。不動産DX事業で大量の広告費を使うので、マーケティングDXのクライアントと同じ目線でお話ができる。広告を使う痛みがわかる。これら2つがあり、3つ目の特徴として97%の継続率を誇っている。
不動産DX事業……住宅解体のプラットフォーム「解体の窓口」を展開。住宅解体市場では初の上場企業となる。業界初の逆オークションという形で行っている点が特徴的。また、1,500社以上の解体業者をネットワークしている点も強みだ。現在、不動産DXの売上高比率は11%程度。法改正を追い風に中長期では最低でも倍、さらに3倍、4倍を狙っていく。2025年2月期で20%の水準まで持っていき、さらに翌年度はもっと食い込んでいければと考えている。
業績進捗は順調……マーケティングDXはマーケティングのデータベースを15年間ため込んできた強みがある。マーケティング施策別の課題の洗い出しや、最も効果が出る施策の提案で支援の品質向上と生産性改善を同時に実現しており、顧客から支持を得ている。24年2月期2Q(3~8月)の段階で既に昨年の半分以上の売り上げまできた。粗利率についても、他社と差別化ができているがゆえに業界平均26.6%に対し、当社は31%となっている。不動産DXも2Q時点の進捗は順調で、通期でも昨年実績を超える見通し。前期の粗利率は45.8%だったが、今期は2Q時点で70.8%と大幅に利益率が改善しているという状況だ。
巨大なブルーオーシャン市場……不動産DX事業は解体市場が1.6兆円を超える巨大市場であることに加え、当社が唯一の上場企業であることから98%以上のブルーオーシャン市場となっている。今回の上場を機に一気にシェアを獲得していきたい。空き家問題が深刻化する中で追い風も吹いている。今年6月に空き家対策特別処置法の改正案が制定され、今までは空き家を放置しておいてもお金がかからなかったものが、今後は固定資産税がかかるようになる。来年あたりから一気に解体需要が増えるとみられ、実際に当社においても問い合わせの件数が増えている実感がある。
成長戦略……マーケティングDXは安定的な成長を続ける見通し。不動産DX事業は空き家問題を背景に急成長中で、川崎市をはじめとする官公民の連携も推進していく。また、当社は宅建の免許も取得している。不動産DXの新規事業として、住宅の解体を機とした土地の売買等も活性化し、取り込んでいきたい。また、家の相続やお墓の問題など解体の後の悩みも多く、そちらも新領域のDXとして事業展開を考えている。グロース市場に上場した会社は配当を出さないケースがほとんどだと思うが、当社は個人投資家の方々の期待に応えたいという思いから、最初から配当を出すという形を取った。上場資金はまずはオフィス移転などに、あとはM&Aに使いたい。(SS)