クラウド勤怠管理システム「KING OF TIME」(KOT)の開発・販売、サービスを展開するヒューマンテクノロジーズ(5621)が12月22日、グロース市場に上場した。初値は1,194円と公開価格1,224円を2.4%下回るスタートとなったが、終値では1,240円と公開価格を上回った。家﨑晃一代表取締役社長=写真=は同社の概要、今後の成長戦略などについて、以下のように語った。
「人時生産性」を高めることがミッション……勤怠管理システムの普及は2019年4月に施行された「働き方改革関連法」が追い風となった。KOTは23年9月末で306万IDと、9年連続シェア1位を獲得している。日本にとどまらず、東南アジア市場をターゲットとして海外展開もスタートしている。当社は「人時生産性」(従業員が1時間でどれだけの利益を生み出しているかを表す指標)を、お客さまとともに考えることをミッションに掲げている。我が国が抱える、労働人口の減少、低い労働生産性などの社会課題を視野に入れ、オペレーション業務からの解放による、創造的業務の後押しを目指している。当社が目指すのは、ルーチンワークをなくし、データに基づく気づきによって、顧客の生産性を飛躍的に向上させ、それをワンクリックで実現することだ。KOTは勤怠管理サービスの提供から始まり、現在は、人事労務、給与計算、データ分析、システムログの五つのサービスで構成されている。こちらのサービでバックオフィス業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)化に向けた課題を解決していく。
シェア10%が目標……22年3月期から、成長のための先行投資を実行しながらも、毎年黒字を達成している。24年3月期の予想は売上高49億、営業利益は5億円。当社の強みは膨大な顧客ベースを持つ販売店、OEM(相手先ブランドによる生産)と密に連携し、直接販売の三つで顧客基盤の拡大を図れることだ。現在は3割強がWebを介した直販、7割弱が販売店およびOEMのパートナーの顧客基盤を活用した販売となっている。また、SaaSのみならず、有力なパッケージベンダーとも、強固な連携を築いている。日本の就業者数から見た当社のシェアは4.5%で、拡大余地が大きい。将来はこれを10%に高めることが目標だ。大きなシェアを持つ様々なパッケージサービスとKOTの連携自動化ツールなどの提供によって、徹底的にお客さまの利便性を向上させ、付加価値提供を強化し、シェア拡大につなげる。
海外展開……勤怠管理システムの普及海外は東南アジア市場において実績が出始めている。22年8月に販売拠点をタイに設立し、日系企業の導入を足掛かりに東南アジア市場の開拓に本格着手した。人件費が上昇してきている東南アジアでも日本と同様な労務管理が求められていると予想している。日本市場で築き上げたサービスとコストパフォーマンスがあれば、十分東南アジア市場で競争できると考えている。(M)