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IPO2025年3月27日

IPO社長会見 ビジュアル・プロセッシング・ジャパン DX時代でDAMのターゲット業界拡大

ビジュアル・プロセッシング・ジャパン(334A)が3月25日、東証グロースに新規上場した。DAM(デジタルアセットマネジメント)を中核に媒体・コンテンツの制作・管理・配信など企業の販促活動を支援するDX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューション事業を展開。初値は公開価格比2.1倍の3,040円だった。上場当日の記者会見で三村博明代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

ユニークなマーケットで自立したプロダクト……経営方針では創業以来、「自立と継続」をテーマにしている。ブランドとして自立できるプロダクトをIT業界で確立することは簡単ではない。われわれがこだわっているのがDAMというデジタルアセットマネジメント。これについてはいろんな媒体・コンテンツの制作・管理・配信までトータルでサポートするプロダクトだが、DAM自体が比較的ユニークなマーケット。初めて日本でリリースしているのでオンリーワンで競合もいなく、自立できるプロダクトとして成長してきた。創業当時のDAMのマーケットは印刷・出版・広告代理店など制作する側のソリューションとして販売していた。これが2000年のインターネット普及を皮切りにiPhone、iPadが出てきてデジタルでコンテンツをつくる時代となり、一般企業が自分でコンテンツをつくって管理し、EC(電子商取引)サイトやWebに配信するという仕組みを模索し始めた。顧客層の幅も広がり、自立したプロダクトでわれわれのパワーを100%投入できるマーケットとなった今、高い角度で安定した収益と成長性を担保できると思い今回のIPOに至った。

生産性向上とブランディングの統一を実現……DAMは企業活動における媒体・コンテンツ制作に必要な様々なデータを管理し、WebページやECサイト、カタログやパンフレットなどの媒体にアウトプットできる仕組み。一般的な企業では、商品情報はエクセルやERPに、画像や映像のデータはファイルサーバーやクラウドストレージに、といった具合に情報を管理している先がバラバラ。それを各部署の担当者が集めて統合し、コンテンツをつくるという大変な仕事になっており無駄が多い。われわれの自社プロダクト「シェルト」はDAMと商品情報をカップリングしたシステム。1つのソースから複数媒体にデリバリーすることができ、生産効率はもちろん、ブランドを統一できるという効果もある。DAMはコンテンツをつくるための管理システムだが、シェルトの中には商品のスペックやサイズ、価格や仕様などを全部管理するPIMという仕組みも入っている。

サブスクによる安定した収益構造……シェルトの契約件数は16年リリース当初の4件から昨年12月末時点で247件まで拡大。さらに今年の1Q(1~3月)で16件納入しており、現在は263件と伸び率はかなり高い。このうち8割がDAM、2割がPIMを使っている。売り上げはシェルトがサブスクリプションでクラウドベースで売れるものが8割ほどあり、このサブスクの積み上げのベースができ上がったのが21年。われわれがIPOを目指したのもちょうどこのぐらいの時で、そこから3年間で順調に積み上げ利益もきっちり出せている。この成長カーブをもう少し大きくできるようにしてきたい。

国内唯一のDAMベンダー……DAMとして世界的に認められているプロダクトは国内で当社の商品だけ。当社の競合は全部ヨーロッパと米国のベンダー。世界には当社を含め30~40社ぐらいのDAM/PIMベンダーがいるが、日本のマーケットはSAPやERPもそうだが、大手でもカスタマイズしたがる。海外のベンダーはそういうのが苦手だし、物理的にも何かあればすぐに飛んでいける距離にいるので非常に有利な状態で動いている。価格競争から見ても、今の時点で海外の商品はあまり脅威には感じていない。また、DAMを扱うにはとにかくクリエイティブなアプリケーションを連携することが大事になってくる。一般的なビジネスアプリケーションをターゲットとしている会社にとっては参入障壁がかなり高く、われわれに追いついてつくるのは相当難しいと思う。

成長ポテンシャル……われわれの顧客(昨年12月末時点)を従業員別分布で分解してみたところ、50~100人以下の企業が57件、1,000人以上の大企業77件と幅広く売れていることが分かった。日本には50人以上の会社が約10万社あり、ここがわれわれのターゲットとなる。仮に1,000社に導入できれば年30億円のサブスクの積み上げができ、さらにチャレンジして3,000社であれば年90億円のサブスクが担保される。市場規模が大きく、業種業態もまったく問わないことから非常にポテンシャルの大きいビジネスと捉えている。また、当社は海外評価会社からもAPAC(アジア太平洋)におけるDAMソフトウェアとして高い評価を受けている。われわれの競合となる海外ベンダーもまだAPACには大して入ってきていない。将来はこうした海外市場(シンガポール、マレーシア、インドネシアなど)を目指すチャンスもあると思う。

IPO契機に成長にアクセル……一番重視しているのは営業力の強化。これまでもそれなりに採用はできていたが、知名度がなかったのでやはり難しい。現在営業人員は7名で、案件の引き合いがかなり多くさばききれない状況。ここを増やすだけでも売り上げはぐんと伸びる。また、代理店が何社か手を挙げてきているので、ここが育てば2年後3年後の成長率は今の2倍伸びていく可能性を秘めている。同時に、ECサイトを構築するためのソフトウェアベンダーやホームページを作るためのCMSベンダーなど、外部のベンダーとのパートナー協力をもっと強化していきたい。(SS)

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