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IPO2024年7月24日

IPO社長会見 フィットイージー きっちり事業を進め、時価総額250億円が当面の目標

フィットイージー(212A)が7月23日、東証スタンダードに新規上場した。初値は公開価格を22.5%上回る1,213円。同社は24時間型フィットネスクラブを全国展開している。店舗数は158店舗(直営25店、フランチャイズ133店)。上場当日の記者会見で、國江仙嗣代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

建設業、不動産業、介護事業などの経験を生かしフィットネスクラブ展開……私は建設業、不動産業、介護事業、飲食業など、基本的に海外から建材や商品を仕入れ、海外の文化を日本で販売するビジネスを行ってきた。海外に行く機会が非常に多く、フィットネスについても海外と日本の差を感じた。欧米はもちろん東南アジアでも盛んで、日本にも絶対に必要と考え、フィットネスクラブを展開している。建設業を長年行ってきたためリノベーションで古い建物でもきれいにするノウハウ、海外から安くて良い建材を仕入れてリノベーションすることでお客さまに喜んでいただいた経験、不動産業により賃貸リスクに対する知見がある。また、介護事業を通じ健康の重要性や、飲食業を通じ店舗環境整備の重要性を認識。フィットネスについても同じような世界と思い、まずはデザインを中心に考え、デザインファーストで進めてきた。

AI顔認証に続き、ヘルスケアオートメーションも開発中……店舗数は順調に増え設立から6年で150店を超えた。1店舗目のオープンまで1年ほど時間をかけて準備し、本人しか入店できない「AI顔認証システム」などを導入した。現在はヘルスケアオートメーションの開発を進めている。カメラで人の動きを感知し、運動量を自動的に数値化するもの。米国ではフィットネスに通っている人は保険料が安くなる。日本は社会保険制度がしっかりしているため保険に頼るが、海外はそれがしっかりしていないため予防医学の観点から身体を鍛える意識が強い。日本も走行距離などで自動車保険料が変わるように、健康系の保険料も運動量などにより変わるようになるとみており、これから保険会社との提携が増えてこよう。

現在、FC加盟社35社、70店が出店待ち……IPOを契機にフランチャイズオーナーの応募が増えてきている。事業計画では来期53店舗、再来期65店舗の出店を予定しているが、それを上回る数字ができるのではないかと思っている。本社のある岐阜を含め東海3県で100店舗を超えており、東海地方では会員数や店舗数でトップレベルにきた。これからわれわれがどのように伸ばしていくかというと、日本中から要望があり、出店待ちがFC加盟社35社・70店ほどあるので、いっぺんに増やそうと思えば簡単にできる。しかし、不動産業の経験を踏まえ、建設コストの上昇と賃貸期間のリスクとのバランスを勘案し、今は既存店のリノベーションも重視。建設業をしていたのでリノベーションは得意。他社よりも海外から大量に安い建材を仕入れ、社内で設計・施工して、しっかり地に足をつけた店舗展開をしていきたい。このため今期、来期、再来期の出店数は大幅には増やさない。今のスタッフ+αでできる数字しか出すつもりはなく、今の営業利益率を今後も続けていきたい。なお、直営既存店舗の営業利益率は30%前後で推移しており、今後は減価償却負担減によりさらなる上昇が見込める。優良店舗で40%近く出ている。

株主優待を検討……当初からIPOは事業計画に入っており、設立5年で上場する予定だったが、コロナで1年延びた。もともと時価総額180億円を一つのベースとし、その次は250億円、さらにその次は300億円というのが私の中にあった。初値で時価総額が190億円を超え、私の中では目標は事業計画通りに達成できたという認識。主なスポーツジム事業者は時価総額250億円前後が多いので、次はその水準に行きたい。プライム上場を目指してスタンダードに上場した。プライムに行くときは300億円という数字は絶対と考えている。250億円、300億円にするためにきっちりとした事業計画を練って、計画に沿って進めていきたい。株主還元は配当性向20%をメドに配当する方針。株主優待も検討している。

<記者の目>

アミューズメント設備を店舗に付帯していることが特徴。シミュレーションゴルフ、個室サウナのほか、レーシングシミュレーター、セルフエステなどコンテンツは現在18種類に及ぶ。地域ごとにマーケティングを行い、既存店舗に新たなコンテンツを導入(=リノベーション)することで既存店の会員増や売り上げを深掘りしている。FC加盟企業は、建設業、不動産業、飲食業、介護事業、パチンコ店などをしながら、新たな事業柱として参入するケースがほとんど。会員はRIZAPグループ(2928・札ア)が展開する「チョコザップ」からの乗り換えも多い。チョコザップを3カ月程度で卒業し、より本格的なトレーニングマシンを求めて移ってくるようだ。来期からコンテンツの一つとして、パーソナルトレーニングも始める予定。(Q)

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