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IPO2024年5月2日

IPO社長会見 マテリアルグループ 5、6年後にPR業界でナンバーワンへ

マテリアルグループ(156A)が3月29日、グロースに上場した。同社はPR発想でマーケティング支援を行っている。初値は公開価格を8.05%下回る1,085円。上場当日の記者会見で青﨑曹代表取締役CEO=写真=が語った内容のポイントは次の通り。なお、青﨑CEOは2011年、創業間もない社員2人のマテリアルに3人目の社員として入社。19年に創業オーナーがPEファンドのアドバンテッジパートナーズに株式を売却したタイミングで代表に就任した。

PR会社から進化……PR会社から進化を遂げた存在になってきていると自負している。従来型PR会社は企業の広報業務を代行し、月額固定報酬で受け、企業の広報予算にアクセスしてサービスを提供するのが一般的。一方、当社は企業のマーケティング課題と向き合い、PR発想でマーケティングを支援し、プロジェクト型で受けている。これにより広報予算よりも大きいマーケティング予算、広告宣伝費にアクセスが可能となっている。

コア事業はPRコンサルティング……セグメント別では、コア事業としてPRコンサルティング、準コア事業としてデジタルマーケティングを行う。PRコンサルティングは、大手総合代理店からPR施策だけを切り出して受注する場合と、企業のマーケティング部署に直接アクセスしてマーケティングコミュニケーション全般の戦略設計から実行まで担う場合の二通り。この事業は質の高いPRパーソン数の増加が成長の重要なドライバーになる。ここまで順調に増加し、一人当たりの粗利も維持・向上している。

準コア事業のデジタルマーケティング……デジタルマーケティング事業のサービスは大きく2つ。一つはサイバーエージェントなど大手デジタル系広告代理店が提供しているクライアントサイトに集客するための広告運用サービスの提供。もう一つがウェブ接客ツール「Flipdesk」の提供。クライアントの課題に合わせて最適な組み合わせでデジタルマーケティングの集客と接客を行っている。PRコンサルティング事業の500社近い顧客基盤に対してデジタルマーケティングサービスをクロスセルすることで、顧客数の増加と顧客単価の向上の実現を図っている。

そもそもPR発想とは……PR発想とは、トライブ(共通の興味関心をもつグループ)から逆算した情報流通設計によって、より多くの人との関係性を構築しやすい発想術のこと。少しわかりにくいので、私とCFOの吉田(和樹)の例をよく紹介している。私と吉田はたまたまだが同じ年齢で同じ区に住み、結婚し子どもがいて、同じ会社で働いている。従来のマーケティングでは年齢、性別、居住場所、年収で同じターゲティングに属するが、われわれの消費行動の実態は全く異なる。今の時代、年齢や性別でなく、興味関心やどのコミュニティに属しているかといった情報をもとに、コミュニケーション全体を設計することが大切で、われわれはそういったことを逆算の発想で設計している。

なぜPR発想が重要なのか……広告市場、マーケティングコミュニケーションの市場は大きな変革期にある。従来は多くの人に情報が届けば物が売れるためテレビCMなどマス広告の活用が効率的で、コストと成果が連動し、コピーライティングなど統一的なメッセージや15秒のCMで覚えてもらえるようなクリエイティブな能力が重要だった。今もそうした考え方は重要だが、だれもがスマートフォンを持ち自由に発信発言ができる「1億総メディアの時代」においてマーケティングコミュニケーションの役割は、多くの人から共感というリアクションを得る、あるいは発話してもらうことに変わってきた。これにより企業が伝えたいことを一方的に伝えるのではなく、企業と生活者の間にある共通の興味関心事項を紡ぎ出すことが大切で、それをわれわれは得意としている。今後この業界においてPR発想が重要になると私は確信している。

競争力の源泉……①グローバル水準のブランディング力②年間約6,300人の応募者を集める強い採用力と、若手でも活躍できるカルチャー③安定的に成長するための経営管理の高度化――が強み。いまだ業界では珍しいプランニング専門部署を9年前から組成し、専門性を高める努力を重ねてきた。結果、国内PR企業において最高峰の評価を得ている。また、経営企画のチームが非常にパワフルということもあるが、過去4期で6件のM&Aを実行。PEファンドからのM&Aノウハウの吸収期間を経て、後半の3件は全て内製化で実行からPMI活動(経営・業務・意識の統合)を行い、M&Aも成長に向けた武器の一つとして活用してきた。M&Aでは当社のビジョンに共感してもらうことを重視。これまでもM&A後、経営者に残っていただいており、ビジョンの実現に向けグループ参画で合意されたパートナーと一緒に成長を遂げていきたい。

成長戦略……今後5、6年後、PR業界でナンバーワンになるという姿を目指しており、それに向けて拡大を図る。具体的には、採用力を生かして採用を加速し、サービス供給体制を強化する。非常に多くの引き合いをいただいているが、供給制約によりニーズに応えきれていない部分がある。新卒、中途を含め年間50~60人はコンスタントに採用を続けており、PRパーソン数は上場を皮切りに20%成長により踏み込みたい。また、伸び盛りのデジタルマーケティングをコア事業に引き上げる。規律を持った戦略的M&Aも引き続き活用し、対応領域の拡大、事業成長につなげていく。

株主還元と成長を両立……初期投資が掛かるビジネスモデルではなく、非常に資本効率が高いため、これを生かして上場初年度から株主還元と成長の両立を実現する方針。具体的には上場初年度から配当性向33%で配当し、成長投資も継続してまいりたい。株主の皆さまに当社の中長期的成長をご支援いただく関係を築いていく上で、株主還元は重要な要素の一つと考えていることも上場初年度から配当する理由。(Q)

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