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IPO2023年12月25日

IPO社長会見 マーソ 健康寿命延伸の成功モデルをつくる

マーソ(5619・G)が12月21日、東証グロースに新規上場した。人間ドック・健診の予約プラットフォーム「MRSO.jp」を運営。初値は公開価格を8%下回る2,079円だった。上場当日の記者会見で西野恒五郎代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

事業は2本柱……HCPF(ヘルスケアプラットフォーム)では人間ドックの予約プラットフォーム「MRSO.jp」を軸に展開。DX(デジタルトランスフォーメーション)サービスでは1,371の医療施設にとどまらず、全国の市区町村の行政・自治体向けにバーティカルSaaSを提供、あるいは法人企業でヘルスケア関連のデジタル化を支援するなど、デジタル化を幅広く推進している。

健康寿命の延伸へ……会員数は約35万人、提携する施設数は1,371。今後は取り引きする医療機関数を増やすことでお客さまがより選びやすい環境を作っていく。かつ、予防医療は裾野を広げていける可能性をたくさん持っているので、まずは会員数35万人→100万人を目指す。人間ドックをインターネット予約などでアクセスしやすくする、予防医療の潜在的な価値を最大化するという部分をデジタル化で支援し、最終的には健康長寿の入り口でもある健診をより広げていく。本当は資産として活用できるものが見えないまま放置されているのが今の予防医療のアナログの現場で起きていることだ。これらをしっかりとデジタル化し、ビッグデータをためていくことでどんどん活用できるにしていきたい。

ワクチン特需剥落の影響と今後の見通し……新型コロナ関連(大規模接種、職域接種)は今年の3月で役目を終えて終了している。こちらは再現性が低いと考えて来期以降は織り込んでいない。他方で通常ベース(コロナ関連を除いたHCPFサービスおよびDXサービス売り上げの合計)の売り上げ成長率は2018~20年の5カ年で年率26.5%、利益率は23年通期予想で39.1%を見込む中、3Q単体でも30%強の利益を計上している。通常ベース事業をしっかり広げていくことで、この成長率と利益率を目安に継続的に成長させる。

提携をよりアグレッシブに……早速SHIFT(3697・P)eWeLL(5038・G)と魅力的な協業で資本業務提携した。今後もこうした提携を広げていくことで、継続性・ストック性が高い売り上げ形成を目指している。業務提携については既にかなり多くの保険会社から興味を持っていただいている。保険の加入者に人間ドックを受けやすくする導線とリワードの確立などを推進してもらっている。医療機関、特に予防医療機関を水平展開したプラットフォームづくりの先には、そういった多くの会員を有する機関にヘルスケアコンテンツとして活用してもらう。あるいは健康データや未病データがとどまっていく中で、その人に本当に必要なEコマース(電子商取引)でのリコメンド的なものに活用してもらう可能性を探っていきたい。

投資戦略……地に足をつけてこれまでの体制から少しずつ質にこだわりながら、人員を強化し、システム開発をよりバージョンアップしていく。エンジニアは少数精鋭なので、数名増やしただけで何十%成長というレバレッジが効く状態。そういった意味ではトップラインが上がれば利益が出やすい体制を進めて、成功している。一方で、もう少し体制が大きければもっと大きなビジネスが展開できるというチャンスに出くわしたこともある。さらなる成長へ向けた組織の強化というところは積極的に取り組んでいきたい。

海外展開の可能性……コロナ前は医療ツーリズムやインバウンドの人間ドック手配をかなり主軸で提供していたが、コロナ禍で断念したという経緯がある。状況を見据えて、今後再開する可能性は十分あるだろう。他方で私たちは日本は予防医療のレベルが高く、ポテンシャルがあると感じている。高齢者先進国である日本で健康寿命延伸の成功モデルをつくることによって、諸外国が10年後20年後迎えるであろう高齢化に向けたロールモデルにすることができたならば、そういったものを世界に持っていくこともあり得る。まだ中長期的なロマンの部分もあるが、そういったところも見据えている。(SS)

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