ミーク(332A)が3月21日、東証グロースに新規上場した。MVNO(仮想移動体通信事業者)を支援するMVNEサービスを展開。初値は公開価格を5.6%上回る845円だった。上場当日の記者会見で峯村竜太代表取締役執行役員社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
MVNO事業者やIoTサービサーを支援……3キャリア対応のプラットフォームで、IoTサービスを提供している企業や、いわゆる格安SIMと言われるMVNO事業を展開している企業に裏側からモバイル回線を提供して支援していくモバイルIoT支援事業を展開している。このうちIoT向けのサービスは昨年度の実績で売上高構成比3割強、MVNEサービスが7割ほど。いずれのサービスも仕組みとしては同じものを使っている。NTTドコモ、ソフトバンク、KDDIの3キャリアと直接ネットワーク設備を接続していて、その接続したわれわれのネットワーク設備でもって通信回線を仕立ててお客さまに提供している。3キャリアやっているプレイヤーは数が少なく、さらに現在は4キャリア目となる楽天モバイルとも同じような仕組みで接続することを準備しており、ここまで来るとユニークな存在になってくる。
特定顧客影響はおおむね収束……回線を使っていただいている分に対して毎月いくらという形でもらうストック型、リカーリングの売り上げがほとんど。MVNEサービスのうち楽天モバイルとソフトバンク(旧LINEモバイル)については、キャリア化に伴い新規の契約がそこでストップしてしまい、解約されるたびに減っていくという痛みを設立当初から抱えていた。そこをそのほかのMVNEを3倍、IoT向けのサービスを4倍に伸ばしてきて、全体としてもターンアラウンド(再生)してきたというような会社だ。(旧LINEモバイルの影響は)足元のトレンドとしてはだいぶマイルドになっていて、全体に占める割合も限定的。また、利益の方は設立以来、比較的堅調に伸ばしてきている。
本質的な収益力を示すKPI……通信を接続するためのコストが原価の中で大きな割合を占める。ただ、この原価の単価は年に一回キャリアと総務省が決めたものを約款ベースでわれわれプレイヤーに一律に通知されるような性質のもので、いわば交渉の余地がまったく無いところだ。そのため、この部分を除外した「実質売上総利益率」という独自の指標を定め、われわれの利益の実力値がちゃんと伸びているかを定点観測している。
帯域を有効活用……2つのサービスを展開しているところが強み。MVNEサービスは例えばYouTubeでの動画閲覧など、ネットワークから手元の端末へのダウンロードのトラフィック、いわゆる下り回線の使用がほとんどだ。ただ、この仕組みは設備的には必ず上りと下りが1:1のキャパで構えられるようになっている。上り回線は設備のキャパはあるが使われていないという状況だった。そこで、カメラやセンサーといった現場からの収集データのアップロード、いわゆる上りのトラフィックがほとんであるIoT向けのサービスを始めた。両サービスを有することでデータ接続料などのコストや設備投資の使用効率が向上する。われわれはこれを3キャリアで実現できているので、競合とのコスト競争力の源泉にもなっている。
市場に多数の案件……IoT向けのサービスは実証実験ベースのものを含めものすごくたくさんの案件がある状況。まずは通信回線とプラットフォームでとにかくいろんな産業領域、いろんなユースケースで使っていただいている。正直なところ、これら全てを人的リソースでさばいていくことは到底できないぐらい数があるので、ここではお客さまがWebベースでAmazonで物を頼むように発注していただき、手元に届いた回線で実証実験を始められるプラットフォームを提供している。お客さまが実証実験を終えて商業化へ踏み込む段階で、われわれも人を構えてビジネスサポートしていくというやり方をしている。ビジネスサポート領域のプラットフォーム化、業界特有の垂直的なソリューション開発などによって事業を拡大していきたい。
非通信事業者の顧客が増加中……MVNEは案件の数は少ないが、1社新しく取れると跳ねやすい。足元では、通信を全くやったことがないが何らかの顧客ベースを持っており、そこに対してモバイルサービスを提供したい、併せて通信事業者の免許も取りたいという方たちが多い。例えば月々の余ったギガをポイントに換えて、そのポイントを使いに来店機会が増えたり購入単価が上がったりなど、モバイルそのものというよりは既存のビジネスとの連携を考えているお客さまがすごく増えてきている印象。(SS)