メディックス(331A・S)が3月19日、スタンダードに新規上場した。老舗のネット広告代理店。初値は公開価格を5%下回る760円。上場当日の会見で、田中正則代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
老舗のネット広告代理店……創業が1984年と、この業界の中ではとても古い。デジタルマーケティング支援事業をしており、インターネット広告販売、マーケティングDX(デジタルトランスフォーメーション)、ウェブサイト制作が主な商品、サービス。売上高構成は3つの領域で管理し、BtoC(消費者向けサービスの企業)領域54.4%、BtoB(法人向けサービスの企業)領域23%、データマネジメント・その他領域22.6%。BtoC領域とBtoB領域は広告の売り上げが中心。データマネジメント・その他領域は広告以外のデータマネジメント、ウェブサイト制作などを行っている。
人的資本が強み……競争力の源泉は3つある。1つ目は持続的発展を支える人的資本。openwork社の社員、OBによる評価スコアは2,516社中46位とトップ2%、特に20歳代成長ランキングは9位と、当社の規模からすると高い評価を得ている。一朝一夕でできるものではなく、数十年かけてつくり上げてきたもの。経営理念を採用時に先輩が教えることで徹底的に納得させ、それが文化風土、採用力、育成力になる。人的資本発展メカニズムと呼んでいるが、メディックスをつくり上げている。平均勤続年数は7.5年で大手のネット広告代理店よりも長く、優位性が出ている。
BtoB領域シェア高く……2つ目は強固な顧客基盤。昨年度、既存顧客からの取扱高は95.6%を占め、安定した取引基盤が確立している。毎年、顧客が積み上がっていく。3つ目はBtoB企業への支援実績。98年にBtoBネットメディアの先駆けというべき商品情報サイト「キーマンズネット」を創設。以来、400社以上にBtoBのマーケティング支援をしてきた。そのノウハウ、実績がわれわれの財産になっている。ネット広告代理店のなかではBtoB領域のシェアが高いのも特徴。この領域は多くの会社が商品ごとにマーケティング担当がおり、プロセスも多様で複雑になっている。長くやっているわれわれにとって参入障壁のようになっている。
収益率向上に取り組む……3領域とも成長市場で、市場成長率を上回る確実な成長を実現したい。BtoC領域は顧客基盤をEC(電子商取引)業界に特化して深掘りし、他社と差別化する。BtoB領域はここ数年、全体の成長を引っ張っている。われわれが提供しているのは広告が中心で今後も売り上げを伸ばしていくが、営業アウトソーシング、インサイドセールス、カスタマーサービスサポートといった分野への進出もしていく。広告以外を「ビヨンド広告」と呼び、M&A、提携、新規事業開発で成長を加速させていく。この3年間売り上げは横ばいで、営業利益は微増だった。上場に向けて内部体制を強化したこともあるが、売り上げの構造改革をして、収益率向上に取り組んでいる。
継続的な増配へ……配当を上場前から継続的にやっており、今期の配当予想の14円もその延長。配当性向は10数%になると予測しているが、今後、増配をずっとできるような経営をしていきたいという意思の下、株主に分かりやすい配当方針を発表できるよう、社内で詰めていこうとしている。(HS)