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IPO2024年6月21日

IPO社長会見 ライスカレー M&Aで非連続的な成長を目指す

ライスカレー(195A)が6月19日、東証グロース市場に新規上場した。SNS(交流サイト)など特定のコミュニティから取得される「コミュニティデータ」の分析で得たデータを活用したプラットフォーム事業を手掛けている。初値は公開価格1,420円に対し9.8%高の1,560円と静かなスタート。大久保遼代表取締役(写真)が当日の会見で語った内容は以下の通り。

コミュニティー・データ・プラットフォーマー……当社はSNSなど特定のコミュニティ(特定の共通分野で興味関心を持つユーザー群)から取得される独自データを収集・分析、活用するコミュニティー・データ・プラットフォーマーだ。変化・多様化する消費者のニーズ、インサイトを捉えて、様々な事業の創出や企業の成長に役立てる。創業から8期目を迎えたが売上高は順調に伸び、2024年3月期は純利益が黒字化した。SNSのアカウント運用代行から始まり、自社のデータクラウド「CCXcloud」を基盤として、ここで得たコミュニティデータを企業向けにサービスを提供するエンタープライズ領域と、一般消費者向けにブランドやサービスを提供するコンシューマ領域を展開している。売上高の65%がエンタープライズ領域、コンシューマ領域が35%となっている。エンタープライズ領域はコミュニティマーケティング関連の各種ソリューションを提供するマーケティング・DX(デジタルトランスフォーメーション)を大企業向けに提供、ここからマーケティング報酬、広告配信手数料などを得る仕組み。データクラウドにおいては、SNS分析ツール「CCXsocial」、中小企業向けSNSコミュニティ集客ツール「アドスタ」などを提供している。一方、コンシューマ領域では「CCXcloud」に蓄積されたコミュニティデータとノウハウをもとに、オーラル美容ブランド「MiiS」やZ世代向けアパレルブランド「RiLi」を運営、単品販売、サブスクリプション、オフライン(店舗・クリニック支援)も行っている。

強み……コミュニティデータプラットフォーマーとして、顧客および自社の多様なコミュニティに関するデータやマーケティングノウハウを蓄積し、エンタープライズ領域(BtoB)とコンシューマ領域(BtoC)で相互にシナジーのある事業成長を実現できることだ。コンシューマで得た知見はエンタープライズ領域にも還元し、新たなソリューション開発や既存ソリューションの改善などに役立てている。マーケティング・DXでは顧客企業がマーケティング活動を行う際のあらゆる目的に応じた幅広いソリューションを保有し、上流から下流まで一気通貫のソリューション提供が可能。大手企業が求める総合的なマーケティング支援を直接行うことができるため、代理店を挟まない直接取引のクライアントが60%を占める。データの収集と収益化では「CCXcloud」がキモになっている。自社で開発したコミュニティデータマネジメントツールを無料で提供、SNSを中心とした付加価値の高いデータがたくさん収集できることが強みだ。コンシューマ領域では自社ブランド商品の在庫を持ちSNSマーケティングを活用してオンライン・オフラインで消費者に販売している。コミュニティデータをオフラインでも活用し、幅広くマネタイズポイントを持っている。

オーガニック+M&Aで非連続的な成長を目指す……オーガニック成長戦略ではエンタープライズ領域で顧客開拓の余地が大きく、単価も伸ばしていく。コンシューマ領域は主要な投資を終えており、既存のブランド中心に伸ばしていく。さらに、既存事業領域、シナジー確度の高い周辺事業領域を中心にM&A(企業の合併・買収)を進め、非連続的な成長を目指す。コミュニティデータを活用したIP開発やOEM(相手先ブランドによる製造)受託事業、また業務効率化・最適化に向けたAI関連サービスなど新たな領域を開拓する。一人当たりの生産性を上げること、データクラウドツールを増やすことなどによって 利益率、利益額ともにまだまだ改善していける。中期の成長イメージとしては単なるSNS屋さんではなくデータプラットフォーマーとして、より大きな価値をつくっていくということだ。(M)

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